ロシアで8月に開催される軍事フォーラム「ARMY2020」。その目玉イベントである、戦車兵の技量世界一を決める「戦車バイアスロン世界選手権」のロシア代表を決める選考会が、ロシア各地で始まっています。現在は部隊内の代表決定戦が展開中です。

 ロシアの戦車バイアスロン連盟が主宰する「戦車バイアスロン」は、戦車兵の技量向上を促すことを目的に、2013年から始まった戦車の国際競技会。射撃の正確性や、多彩なコースを走破する操縦技術といった、戦車兵に必要な技量をスポーツとして競うという、アニメ「ガールズ&パンツァー」の戦車道を思わせる大会で、2014年から世界選手権(World Championship)となっています。


 参加国はロシアや旧ソ連の国々(カザフスタン、ベラルーシ、アゼルバイジャン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)のほか、中国やモンゴル、そしてベトナム、ラオス、ミャンマーといった東南アジア諸国、イラン、シリア、クウェートの中東諸国、キューバ、ベネズエラの中米諸国、ジンバブエ、ウガンダなどのアフリカ諸国と多彩。参加国が増えたため、2019年からは前回の成績に基づいて2部制(1部はロシア、中国など12か国、2部はウズベキスタン、ベトナムなど10か国)となっています。

 2019年の個人(単独車両)戦では、ロシアのミハイル・ジリン曹長(車長)、バト・ツィディポフ曹長(砲手)、イヴァン・オシーエフ上級軍曹(操縦手)組が17分30秒のレコードタイムで優勝。1分25秒差の2位にもロシアが入り、18分57秒の3位が中国人民解放軍でした。砲手のツィディポフ曹長は、2015年大会に続く2回目の優勝です。


 団体戦(50kmリレー)でも、ロシアが1時間36分31秒のレコードタイムで優勝。個人戦で優勝したジリン/ツィディポフ/オシーエフ組が原動力となり、操縦手のオシーエフ上級軍曹はT-72B3で時速84km(T-72B3のカタログスペックは最高時速70km)の新記録をマーク。2位は1時間45分31秒のベラルーシ、3位に1時間49分58秒のカザフスタンが入りました。個人戦で3位だった中国は、準決勝で敗退してモンゴルに次ぐ6位という成績になっています。

 2020年大会に向けてロシア国内で行われている予選では、東部軍管区で女性だけのチームが結成されたこと。ブリヤートの部隊では戦車長を含めた3名、そしてトランスバイカリアでは砲手と操縦手のペアが誕生しています。


 予選はまず部隊代表決定戦に始まり、地区代表決定戦、そしてロシア代表決定戦と進んでいきます。2013年の創設以来、ずっと優勝を飾っているロシアだけに、この予選が最も過酷な戦い。8月にモスクワ近郊のアラビノ訓練場で開催される戦車バイアスロン世界選手権に進むのは、どのチームになるでしょうか。戦車バイアスロン世界選手権の様子はYouTubeで生中継される予定です。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
国際戦車バイアスロン連盟 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)