ロシアのクリミア併合を受けて創設された、有事に素早く展開するNATOの高度即応統合任務部隊(VJTF)。2020年1月1日から、ポーランドが着任します。基幹となる第21ポドハレライフル旅団が、マリウス・ブラシュチャク国防大臣の激励を受けました。

 NATO加盟国が共同で組織するNATO即応部隊(NRF)のうち、より機動的に対応するため2014年に創設されたのが高度即応統合任務部隊(Very High Readiness Joint Task Force)です。その内容は、5000名程度の将兵で構成される旅団規模の陸上部隊となっており、事態発生から48~72時間以内に展開できる即応体制にあります。

 高度即応統合任務部隊の任期は1年で、NATO加盟国間で持ち回りとなっています。2019年の担当だったドイツに代わり、ポーランドが2020年の任務を引き継ぎました。

 基幹となるのは、ポーランド陸軍の第21ポドハレライフル旅団(約4500名)。支援部隊として第12機械化師団、憲兵隊、空軍の第3輸送航空隊のほか、兵站と大量破壊兵器対策(C-CBRN)の専門家が任務にあたります。

 高度即応統合任務部隊の任務に対応できるか、その練度を確認する国際共同訓練として、2019年6月に実働訓練の「ドラゴン」、2019年11月には指揮統制能力の「トライデント・ジュピター」が実施され、即応能力に問題なしとの承認を受けたポーランド。2020年1月1日から、NATO即応部隊を構成するイギリス、イタリア、スペイン、スロバキア、チェコ、トルコ、ハンガリー、ブルガリア、ラトビア、リトアニアなどの部隊に先駆けて展開する警戒態勢に入りました。

 ブラシュチャク国防大臣は「ポーランドの高度即応統合任務部隊着任は、彼ら将兵が高いプロ意識と練度、そして近代的な装備を持っていることの表れであり、常にGDPの2%を防衛予算に割り当てる、というドゥダ大統領の一貫した政策の結果です」と語っています。

 また、今回の任務については「将兵に特別な経験をもたらし、諸国と統合任務部隊を組織して活動することで、ポーランドの安全保障に大きく貢献することになります」と語り、任務にあたる兵士たちを激励しました。

 ポーランド陸軍の第21ポドハレライフル旅団を基幹とする高度即応統合任務部隊は、2020年末まで24時間の警戒待機を行います。この任務は、2021年にトルコへと移管される予定です。

<出典・引用>
NATO ニュースリリース
ポーランド国防省 ニュースリリース
Image:ポーランド国防省

(咲村珠樹)