ロシアの航空機メーカー、イリューシン(UAC傘下)は2019年12月30日(現地時間)、ターボプロップ旅客機Il-114の最新型であるIl-114-300の試作機を公開しました。2020年終わりごろから飛行試験に供される予定です。

 イリューシンのIl-114は、短距離(リージョナル)路線で運航するために設計された旅客機。原型のIl-114は1990年に初飛行しています。

 今回試作機が公開されたIl-114-300は、従来のIl-114よりパワーアップした新しいエンジン(クリモフTV7-117ST)を採用した航続距離延長型。プラット&ホイットニー・カナダPW127Hを採用したIl-114-100と比較して500kmほど長い、1900kmの航続距離を持つ最大64席の旅客機です。

 頻繁に離着陸を繰り返すリージョナル旅客機として、Il-114-300は構造もタフ。飛行時間3万時間もしくは、30年間で3万回の飛行(離着陸)を前提とした設計で、運用期間中の総コスト(ライフサイクルコスト)も低く抑えられるように配慮されています。また、今回の試作機に使われている塗料で、塗膜の対候性もテストするのだといいます。

 ロシアでは、老朽化したアントノフAn-24の後継機と考えられており、これまでに19機の発注がありました。ロシアの政府系航空機リース会社(GLTK)も関心を寄せているほか、海外ではフランスのATR-72-500とライバル関係になると考えられています。また機体の製造に関しては、インドの航空機メーカーHAL(ヒンドスタン航空機)が一部の製造を担当したいという意思を示しているとか。

 イリューシンでは地上試験のあと、2020年終わりごろから飛行試験を始める予定。2022年の型式証明取得と、2023年からの量産を目指すとしています。

<出典・引用>
UAC ニュースリリース
Image:UAC

(咲村珠樹)