スウェーデン空軍の新型戦闘機グリペンE、その1号機が2019年12月20日(現地時間)にメーカーのサーブから引き渡されました。リンシェーピングで行われた引き渡し式典には、スウェーデンのフルトクヴィスト国防大臣も出席しています。

 スウェーデンの主力戦闘機であるJAS39グリペン。その能力向上型のグリペンEは、すでにブラジル空軍が採用を決め、2019年9月10日に1号機が引き渡されています。

 スウェーデン空軍向けグリペンEの1号機は、通算5号機(試作機が3機、ブラジル空軍向け1機)となる社内番号「6002」。スウェーデン軍のM90迷彩をイメージしたカラーに身を包み、2019年11月に初飛行を行ったことが12月3日に発表されています。

 関係者50名ほどが出席し、サーブのリンシェーピング事業所で行われた引き渡し式典で、サーブのマルクス・ヴァレンベリ氏は「80年の長きにわたり、私どもはスウェーデンとの協力関係により最新鋭の戦闘機を開発してきました。グリペンEも例外ではありません。グリペンEは技術革新の最先端にスウェーデンが位置することを示す好例です。初飛行を終え、軍での評価試験に移行することは、プログラムにとって大きな一歩となります」と、グリペンEの引き渡しに際しコメントしています。

 ペーテル・フルトクヴィスト国防大臣は、グリペンEを世界最先端の航空機のひとつだと評し「スウェーデン軍の懸案事項に対して、実効的な能力を付加してくれるでしょう。この開発に携わった全ての人々を祝福したいと思います。皆さんの働きがなければ、グリペンEは実現しませんでした」と、人々の労をねぎらっています。

 スウェーデン空軍のカール・ヨハン・エドストロム参謀総長は「この航空機によって、我々は将来の脅威に対抗することができます。能力数値の面では、必ずしも絶対的に優れているとは言えませんが、戦術的な能力では非常に優れている機体です。加えて、私はグリペンを飛ばす素晴らしい心地よさを知っています。スウェーデンのような小さい国が、このような世界トップクラスの戦闘機を作り上げることができるというのは、本当に素晴らしいことです」と、最新鋭の国産戦闘機に寄せる期待を述べています。

 サーブは今後、スウェーデン軍とスウェーデン防衛装備庁と共同で、スウェーデン軍におけるグリペンEの運用評価試験に入ります。2020年には生産も本格化し、2号機以降が納入される見込みです。

<出典・引用>
サーブ ニュースリリース
Image:SAAB

(咲村珠樹)