エアバスは、最新旅客機A350XWBのコクピット計器に、タッチスクリーンのオプションを設定。最初の採用機を2019年12月18日(現地時間)、中国東方航空に引き渡したと発表しました。現在このコクピット仕様を約20社が発注しているといいます。

 スマホと同じく、画面を指でタッチして操作できるタッチスクリーン式ディスプレイ。カーナビでも一般的になっていますが、小型機用の計器(ガーミンGシリーズなど)には存在するものの、大型旅客機ではまだ採用が進んでいません。

 エアバスは、航空電子機器大手のタレスとA350XWB用のタッチスクリーン式ディスプレイを共同開発。コクピットに設置された6つの大型多機能ディスプレイ(MFD)のうち、3つ(パイロットに対し外側の2つとセンターコンソール下部の1つ)がタッチ操作可能になりました。


 タッチ操作可能なディスプレイでは、飛行機の操作マニュアルが収録された「電子フライトバッグ(EFB)」のアプリが表示されます。従来の操作で使用されていたキーボードは、パイロット正面にある折りたたみ式テーブル(エアバスの旅客機は操縦桿が操縦席の横にある「サイドスティック式」を採用しています)に収納され、必要に応じて使用可能。2人の操縦席の間にあるセンターコンソールには、キーボードとトラックボールが一体となった操作ユニット(KCCU)も残されています。

 計器の操作方法が変わるため、タッチスクリーンを採用したコクピット計器の安全性審査が新たに行われ、2019年11月に欧州航空機関(EASA)の型式認証を取得しています。試験におけるパイロットの評判は上々だったとか。

 特に出発前の飛行制御システム(FMS)や巡航中のナビゲーションチャート(地図)、着陸進入時のチャート(飛行経路図)表示では、スマホのように指でのスクロールや、ピンチ操作で表示の拡大・縮小ができる点などが高く評価されたといいます。これらの場面では、パイロットが様々な状況を確認・判断する必要があり、タッチパネルでの直感的な操作は、より負担を軽減させる効果が確認された、とエアバスは発表しています。

 パイロットに対し、必要な情報を必要な時に表示し、しかも負担なく操作できる計器は、高機能化が進む旅客機にとって必須のものといえます。エアバスがA350XWBで初めて導入したタッチスクリーン式ディスプレイは、これからの標準的な装備になっていきそうです。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus

(咲村珠樹)