エアバスは2019年12月16日(現地時間)、戦術輸送機C295についてチェコ空軍から2機の追加受注、アイルランド空軍から2機の新規受注があったことを発表しました。11日にはアフリカのブルキナファソ空軍から1機受注しており、発注国は33か国になります。

 エアバスの中型戦術輸送機C295は、スペインの航空機メーカーCASAとインドネシアの航空機メーカーIPTNとが共同開発した輸送機CN-235の発展型。CASAがエアバス傘下に入ったため、エアバスのモデルとなりました。

 全長24.5m、ターボプロップ双発の比較的コンパクトな輸送機で、貨物搭載量は9トン強。STOL(短距離離着陸)性能も高く、不整地での離着陸もこなすため、輸送任務だけでなく哨戒機や早期警戒機など、様々な任務に転用できる使い勝手のいい飛行機です。

 チェコ空軍ではすでに4機のC295を運用しており、今回の発注でC295は6機となります。機体は2021年前半に引き渡される予定。エアバスでは同時に、この既存の4機に対するアップグレード改修についての契約も締結しました。

 アイルランド空軍では、1994年からCN-235を海洋における哨戒機として運用しており、今回のC295はこの後継機としての発注となります。統合戦術システムに加え、各種センサーを搭載し、アイルランドの沿海域で違法漁業の監視活動や捜索救難などの任務にあたる予定です。

 西アフリカの内陸国ブルキナファソは、2018年から2022年にかけて防衛力整備計画を策定しており、C295の発注は軍の輸送力強化施策として導入が決定したもの。アフリカではアルジェリア、エジプト、ガーナ、コートジボワール、マリでC295が導入され、今回のブルキナファソで6か国、36機目のC295となります。

 今回発表された3か国、5機の発注で、C295の総発注数は214機となりました。日本では馴染みがないものの、身の丈に合った手頃な大きさの輸送機C295は、予算規模の小さい空軍にとっては有り難い存在となっています。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース(チェコアイルランドブルキナファソ
Image:Airbus

(咲村珠樹)