小さい子どもが入浴中に湯舟のお湯をゴクゴク飲んでいた……。どう考えてもきれいじゃないからやめてー!って内心絶叫しつつ湯舟から引き上げることもしばしば、という悩みを抱えている親は意外といます。その対策法がツイッターで紹介され、多くの親の関心を惹いています。

 「娘がお風呂のお湯を飲むことをママ友に嘆いていたら、近くにいた知らないママさんが『あの…息子も飲んでたんですけど、入浴前に水分をたくさん摂らせると飲まなくなりました』って教えてくれて、今日試したら本当に飲まなかったー!!今度会ったらお礼言う!話しかけるの絶対勇気いったと思う!」と、教えてもらったことをツイッターに投稿したのは、1歳児の母であるさくマさん。

 子育て支援センターでママ友さんのお子さんと、さくマさんのお子さんを遊ばせている時に、子どもたちの様子を見つつも困りごとを嘆いていたさくマさん。初めての育児で、子どものやることにどういう理由があるのか見当がつかないという時、ママ友同士で愚痴や悩みを雑談するのは結構あるあるな訳ですが、近くにいた見知らぬママさんの助け舟が功を奏した模様。

 おそらく、「自分も同じことで困ってたことがあったな、これ教えたら助けになるかな」と、共感したのかもしれません。そこでつい、声をかけてみたのでしょう。もしかしたら「人の話に割り込んでこないでください」とか言われたらどうしよう……そんな気持ちもひょっとするとあったかもしれません。

 しかし、支援センターで子を遊ばせている親は、みんな子育ての同士たち。困っていることで自分の知っている解消法などを伝えるのは、勇気がいるけど同じ同士としてスルーできなかったのかもしれません。持っている知恵や情報を交換する場所として、就園前の同年代の子がそろう支援センターは、ただ子どもを遊ばせるだけではなく、親同士が情報交換をするのにも適した場所。

 このツイートに、多くの同じ悩みを抱えている親御さんが反応。早速試してみます!という声が次々と。そして、実際にやってみた人たちからは「ホントにお風呂のお湯を飲まなくなりました」といった感謝の声が続々。子どもは汗かきで、代謝も良いのでお風呂中は意外と多くの汗をかいているのですが、全身びしょぬれだと汗をかいている感覚もなく、ただ、のどが渇くという感覚でその辺のお湯を飲んでしまいがち。

 筆者自身も、小学生の半ばくらいまで、入浴中に風呂場の蛇口からゴクゴクと水を飲んでいたことを思い出しました。体がポカポカすると、自然と水を飲みたくなるんですよね。大人になると、のどの渇きに鈍くなりがちなので、入浴後に初めてのどの渇きに気が付くことも多いと思います。

 この、入浴前の水分補給は子どもだけに限ったことではなく、実は大人でも大事なこと。入浴中から入浴後に脳卒中が起こりやすいとよく言われていますが、ヒートショックの他にも、体内の水分が足りない状態で入浴し、大量に汗をかくと、血液が濃縮されてドロドロになってしまいます。血液中の水分が足りないと、高コレステロール血症や高脂血症の人などは血管内に固まっているコレステロールの塊にさらコレステロールが付着し、大きな塊に成長することがあります。入浴後に急に水分が補給されると血管内の水分も一気に増えて、血管内の塊が血流で剥がれてどこかに詰まってしまうことがあります。脳や心臓を取り巻く血管、肺の血管はとても細いので、そこに詰まると命にかかわる事態にも陥りやすくなります(脳血管障害、心筋梗塞、肺塞栓など)。

 健康診断で血液に異常がなくても、その時のコンディションで何が起きるか分からないのが人間の体。子どもの頃から、親子で水分を摂ってから入浴する習慣をつけることは、入浴後に一気に水分補給するよりも大事です。

 入浴前後にコップ1杯ずつ、水やお茶を飲んでからお風呂に入る習慣をつけると、おふろの中でのがぶ飲み防止と健康維持に繋がっていきますので、ぜひ親子でこの習慣を身につけていきたいですね。

<記事化協力>
さくマさん(@2424ras)

(梓川みいな/正看護師)