気持ちを上手く伝えられない幼児が泣くのは、泣くことでしか自分の嫌だと感じた気持ちを表すことができないことがほとんど。幼児が泣くことに対し、その兄が説明した内容に共感する人が続出しています。

 子を持つ母の視点から描いたRPG風漫画「伝説のお母さん」は、そのゲーム的シナリオにちりばめられた現代の子育てを取り巻く問題が評判となり、2020年にはNHKでドラマ化も決定。作者であり2児の母でもあるかねもとさんも、ただいま育児奮戦中。

 かねもとさん宅には小1のお兄ちゃんと3歳の妹ちゃんがいますが、ある日「3歳の娘がちょっとしたことでわんわん泣くので息子に『君もこれくらいのときすぐ泣いてたんだけどなんで?』と聞いたら『泣いたらどうにかなると思ってた』と清々しい真実が明らかになった」と、実に明快な答えがお兄ちゃんから返ってきたことをツイッターに投稿。

 ああ、そうよね、まだ3歳だと具体的に理由を上手く説明できないもんね。だからとりあえず泣いてみて、何が嫌なのかを大人が具体例を出して聞いてくれて、自分の「嫌」を当ててもらいたかったのかも。

 だから、「泣いたらどうにかなると思った」につながったのでしょう。これは身近な大人を信用しているからできること。泣いても周りの大人が何も反応を示さないと、「泣いても誰も気が付いてくれない、分かろうとしてくれない」と、子ども心に気が付き、大人を信頼しなくなるのです。

 このツイートを見た人たちからも、「泣くと必ずどちらかが話しかけてくれたり手を繋いでくれることを覚えてしまい、そこから嘘泣きを何度かしたことを思い出しました」と、幼いころの両親のぬくもりが恋しかったころの思い出や、「腑に落ちる回答」と納得する人、「誰かがどうにかしてくれる、という漠然とした人間(大人)への信頼感があるからこそ、だと思う。それは幸せなことだ…」と、大人への信頼感を構築できている親子関係に思いをはせる人など、様々なリプライが。

 筆者は、1歳違いの弟と4歳違いの妹がいる長女。年子の弟とは喧嘩が絶えませんでした。大人になって思い返してみると、まだ自分も赤ちゃんで甘えたいし手を掛けてもらいたいのに何で小さいのがいるの!?っていう感じでした。加えて親は転勤族。筆者が小学校に上がるまで、ほぼ毎年のように引っ越しを重ねていたので、筆者きょうだいだは幼馴染に縁がなく、乳飲み子を抱えた3児の母は頼れる人もいない場所で心細い思いをしながらの引っ越し生活だったと思います。

 そんな中で、直接親からは「長女なんだからしっかりして」とは言われなかったものの、下の子たちを見ていると、自分は甘えちゃいけないんだ……と思っていた節があり、それが爪噛みやおねしょが治らなかった原因の一つだったのかもしれません。スキンシップすら上手く求められず、抱っこして、という言葉を自分が発した記憶ってほとんどありませんでした。

 唯一、父が肩車をしてくれたこと、仕事で外に出るついでに私だけを連れて下の子たちには見ることのない景色を見せてくれたのは今でも覚えています。上の子はマイペースな子が多いのですが、マイペースというよりも完全に甘え下手でした……。

 かねもとさんの息子さんが、お兄ちゃんの意見として「泣けば何とかなる」と回答したのは、それだけかねもとさんが息子さんに対してきちんと向き合い、泣いている原因を探って対処しようとした、愛情を感じたことがベースになっているのでしょう。よく泣く妹ちゃんを見て、きっと同じシグナルをキャッチできたから、明確に答えられたのかと思います。

 筆者宅のような、毎年保育園や幼稚園を変わる生活みたいなのは例外だと思いますが、他にも例外はあれど、大方の家庭では安定した環境の中で、安定した親からの愛情を受けて子が育っていくものでしょう。上の子に愛情をたっぷり注いで、下の子ができた時には、かねもとさんみたいに「(下の子)ちゃんは、どうしてよく泣くのかな?○○なのかな?」と聞いてみると、案外、納得いくような答えが返ってくるかもしれませんよ。

 ちなみに、かねもとさんの「伝説のお母さん」の続編、「伝説のお母さんつづきから」や、ブログ「いっぱいかあさん」も共感深いですよ。こちらも今後の展開がこれから気になるところ。育児に疲れた全母親はチェックしてみてくださいね。

<記事化協力>
かねもとさん(@kanemotonomukuu)

(梓川みいな)