ノルウェー空軍は2019年11月6日(現地時間)、F-35Aが初度作戦能力(IOC)を獲得したと発表しました。南部のリュッゲ基地でイェンセン国防相、スキナーランド参謀長が会見し、部隊が現在のオーランド基地からリュッゲに移ることも発表しています。

 ノルウェーに最初のF-35Aが到着したのは2017年11月。2019年10月末現在で15機のF-35Aを受領しており、オーランド基地の第332飛行隊で運用されています。


 冬の寒さが厳しく、滑走路が凍結することもあるノルウェー。このためノルウェー仕様のF-35Aには、凍結滑走路へ着陸する際の制動力を確保するため、ドラッグシュート(制動用パラシュート)がオプション装備されているのが特徴です。

 オーランド基地での記者会見でイェンセン国防相は「これは軍全体にとって重要な日となりました。F-35が国家の危機を解決し、ノルウェーの主権を侵す脅威に対する抑止力となることを意味するのです」と、国土防衛にF-35が果たす役割を述べています。


 この初度作戦能力獲得を前に、ノルウェー空軍のF-35Aパイロットは海外での国際共同訓練にも参加しています。2019年3月から4月にかけては、アメリカのネリス空軍基地で実施された「レッドフラッグ・ネバダ」に初参加。普段とは正反対の砂漠地帯で訓練を行ないました。


 また、実戦化に向けた試験も並行して行なっています。2019年3月には中距離空対空ミサイルAIM-120AMRAAMの発射試験、秋には赤外線誘導ミサイルから逃れるための装備、フレアの試験を実施しました。


 今後、F-35Aを運用する第332飛行隊は、現在のオーランド基地から南部のリュッゲ基地に移動します。2020年の第1四半期には、NATOのアイスランド防空任務へ派遣される予定。


 ノルウェー空軍では、2022年にもF-35Aを現在のF-16に代わり、スクランブル対応任務(クイック・リアクション・アラート=QRA)に就かせると発表しています。F-35Aの完全作戦能力獲得(FOC)は2025年になる見込みです。

<出典・引用>
ノルウェー空軍 プレスリリース
Image:ノルウェー空軍

(咲村珠樹)