「自分が何で怒っているか分かる?察して?」時にこんな怒りの表現を見かけます。しかし、言われた方としては明らかに思い当たる節がなければ「分からないし察しようがない」と拗れていきます。怒りポイントと解決法を明確に伝えるとこんなことにはならずに済む、というツイートが大きく話題になりました。


 

■ 褒められた「怒り方」

 この怒りのポイントと解決策を明確化する手法は、エンジニアのたんたんさんがツイッターに投稿したもの。

“彼氏とはたまに喧嘩しますが、私の怒り方がとても分かりやすいとお褒めの言葉を頂きました

私「私は今怒っています。
原因は〇〇です。
解決方法としては提案が2つあります。
1つ目は〇〇で、2つ目は〇〇です。
どちらか実行して欲しいです。どう思いますか?」
彼「気付かずごめん、2で」
私「OK」”

 怒りの感情を、感情だけでぶつけずに「原因」と「解決法の提案」という形で相手に伝えています。ここでポイントになっているのが、怒りの原因を相手に伝えていること、解決策を複数用意しておくことの2点。

 たんたんさん自身は、このツイートのリプライに対し、「実は半泣きになりながらこの方法で怒っているので感情は出まくってます」と、しっかりと感情をぶつけつつも原因と解決方法を提案しているそうです。エンジニアだけあって、感情的な時でも理論的な思考回路を持っている……と妙に納得してしまいました。

 そして、「これをアウトプットするのなかなか大変で疲れていて、メンタルが良くない時は難しく、それの耐性としてたまに理不尽な怒りも混ぜておくことをオススメします」というアドバイスに対し、「確かにメンタル整ってる時じゃないとこの方法はできないです」と。

■ 精神の不安定さと怒りの抑圧の危険性

 しばしば感情というものは勝手に外に出てしまいがちですが、静かに怒りをため込むタイプの人もいます。怒りを溜めていると、溜めに溜めた怒りの蓄積で、自分が何に対して怒りを感じているのかすらも見失いがちになってしまいます。結果、何層にもなった怒りが一気に噴出した結果、怒りのあまりに感情が暴走することも。

 そして、溜まった分の怒りポイントについて、「あれも!これも!あの時もだった!」ととめどなくあふれ出てしまう事で「自分が何について怒っているか分かるか?」と一気にぶつけてしまうことになりがちです。

 口論が長引き余計に話がこじれるこの手の怒りの表し方は非常に危険で、相手との和解を不可能にしてしまうこともあります。そして、怒りの蓄積がなくても、感情が不安定な時は理不尽なことにも怒りを感じてしまい、意外と爆発してしまうことが多いものです。

 しかし、「カチン」「ムカッ」となった時に、どこにその「カチン・ムカッ」を感じたかをその場で冷静に、「今のその言葉(態度)、私は怒りを覚えた・不快だった・嫌だった」など、ピンポイントで指摘することは、その後も冷静にやり取りができるというメリットがあります。

 怒りの感情は自己の精神を極度にすり減らすことがあります。特に怒りを発散させてスッキリするのではなく、怒りに対して執着を持ってしまうと、絶えず何かに不満を感じ、何かに怒り続けてしまうといった悪循環にもつながりかねません。

 精神的に不安定な時は、「今気持ちが不安定だからやたら怒ったり泣いたりするかもしれない」と、事前に相手に伝えておくだけでも、相手側は心構えができます。しかし、心構えもできないうちに、怒りの感情と一緒に「何で察してくれないのか?」という言葉までぶつけられたら、「そんなの察しようがないだろ!」となり、時には大喧嘩に発展してしまいます。

■ 男性脳と女性脳ってよく言われがちなのは……

 男性と女性では、怒りを覚えるポイントがずれている場合は意外と多くあります。さらに、女性の場合、ホルモンバランスの関係でイライラしやすい時や調子が悪い時も多くあります。多くの男性が、「女は理不尽に怒る」と思っているのは、実は生理前などホルモンバランスによる現象からかもしれません。そして男性には理解することができない、女性ならではのイライラや理不尽な感情は、すれ違いを生む場合も多くあります。

 何について怒りを感じたか、その怒りに対してどう対処すべきかを相手にはっきり示すというのは男女ともに身につけておくと、余計に心身を消耗しなくて済むことにつながりますが、特に女性の皆さんは、相手に対して今現在の自身の精神状態をあらかじめ理由とともに伝えておくと、男性側にも「それじゃあしょうがない」と思ってくれるかもしれません(思ってくれる人が多いことを願っています)。

 そして、男性の皆さんは、女性が感情的になっている時は、なるべくそっとしておいてあげてください。そして、相手の女性に対し、理不尽さを感じた時は、なるべく冷静に「その言動は自分にとっては不快だよ」と伝えていくと、さらなる感情のヒートアップを抑えることができるかもしれません。

 もちろん、男性側でもどうしても許せない怒りポイントがあると思います。やっぱりその時も、感情とともに、「何が原因でどう対処してほしいか」を伝える事で、相手側にも「自分のこの言動がNGだったのか」と伝わりやすくなります。

 誰かといる以上、感情のぶつかり合いや喧嘩を回避することってなかなか難しいものがあります。しかし、感情を「感情単体」でぶつけないで、理由と対処法を添えて、なるべく理論的に冷静に伝えることで、よりお互いのことを理解しやすくなるのではないでしょうか。

<記事化協力>
たんたんさん(@ayanotango)

(梓川みいな/正看護師)