フランス空軍は2019年10月22日(現地時間)、ミラージュ2000-5戦闘機就役20年の記念式典を東部の第116リュクスイユ=サンソヴェール空軍基地で行いました。また、就役20年を記念したスペシャルマーキング機も公開されています。

 ミラージュ2000シリーズの次世代型として、エンジンの出力増強や新型レーダーの採用など大幅な改良が施されたミラージュ2000-5。ラファールの配備が遅延する間、いわばショートリリーフ的な存在として登場しましたが、現在でもマルチロール(多用途任務)戦闘機として空軍を支えています。

 記念式典が開催された第116リュクスイユ=サンソヴェール空軍基地は、第一次世界大戦中に日本人初のエースパイロット、滋野清武(バロン滋野)が所属したことでも知られる伝統の戦闘機飛行隊、1/2“シゴーニュ(コウノトリ)”が所在する場所。かつてのミラージュ2000-5パイロットらも式典に参列しました。

 式典で披露されたスペシャルマーキング機は、垂直尾翼にミラージュ2000-5戦闘機を示す「-5F」の文字が大きく描かれたもの。Fはファイター(戦闘機)の頭文字だけでなく、フランスの頭文字でもあるので、フランス国旗のトリコロールである赤・白・青に彩られています。数字の5の中には「20 ANS d’exellence(素晴らしき20年)」の文字。

 垂直尾翼の前縁部に沿って、これまでミラージュ2000-5を運用してきた飛行隊の部隊マーク(インシグニア)が並びます。試験飛行隊の5/330“コート=ダルジャン”(1998年~2015年)、3/30“ロレーヌ”(2010年~2011年)、2/2“コート=ドール”(2000年~2007年)。

 そして上2つには、現役のミラージュ2000-5飛行隊である3/11“コルス”(2011年~)と、1/2“シゴーニュ”のインシグニア。そのインシグニアをなぞるように、そして5の部分で宙返りをして上昇する2機のミラージュ2000-5のシルエットと航跡が、これまでの歴史を象徴しているかのように描かれています。

 就役から20年を迎えたミラージュ2000-5は、これまで海外にも派遣されてきました。式典で戦闘機空軍旅団(BAAC)司令官のジャン=リュック・モリッツ大将は、2018年に中東で実施されたハミルトン作戦に触れ「シリア政府軍による化学兵器攻撃の報復として実施されたこの作戦では、ミラージュ2000-5が新たな記録を作りました。わずか10時間の間に、連続して5回の任務を行なったのです」と、その稼働率の高さを強調しています。

 2020年には、NATOのバルト海領空警戒監視任務として、エストニアに派遣される予定となっているミラージュ2000-5。20周年を通過点に、まだまだ第一線の戦闘機としての活躍が続きます。

<出典・引用>
フランス空軍 プレスリリース
Image:Armee de l’air

(咲村珠樹)