犬を飼っている家の玄関に貼ってある「犬」のシール。正式には「門票」もしくは「犬の標識」といって、法律にもとづき玄関の見えるところに掲示するものです。そんな玄関先に貼られた犬の標識に嫉妬して作られたという「猫」シールのツイートが話題を呼んでいます。

 犬の場合、狂犬病予防法により、犬(生後91日以上)を飼い始めた日から30日以内に、住んでいる自治体に犬の登録申請をすることが義務付けられています。その際に交付されるのが「鑑札」と、登録された犬がいることを示す「門票」もしくは「犬の標識」というシール。鑑札は犬の首輪やハーネスに着け、シールは玄関外側の見える場所に貼っておくことが義務付けられています。

 さて、猫はというとどうでしょう。猫が玄関から出てきても、玄関に「猫」シールが貼られているのを見たという方はいないのでは?一部の猫飼いさんにとっては「犬だけ『飼ってます!』って自己主張できてうらやましい」と嫉妬してしまうグッズのようです。

 ないなら作ればいいじゃない!と、その「猫シール」を制作してしまったのが、もず串さん。昼間はロボットを作る会社に勤務しながら、制作活動や保護猫活動をしているとのこと。

 この猫シールは1枚250円(税抜)で販売されており、そのうち50円は保護猫活動支援として、猫の保護施設に寄付をしているそうです。これは保護猫にとって1回分のエサ代に相当するとか。

 この「猫シール」をツイートしたのが、私小説「夫のちんぽが入らない」で知られるこだまさん。「猫好きの方にフォローされることが多いのでお知らせ」として、もず串さんの作品を紹介したところ、多くの人から反響がありました。

 このシール、はじめは、もず串さん自身が「犬」シールのようなものが欲しいと思い制作したそうなのですが、販売したwebメディアびっくりセールで思った以上の反響があり「これは寄付できる仕組みを考えよう」と思い立ったのがきっかけになったとか。思い立ったが吉日といわんばかりに、印刷も業者に頼み、アルミシールっぽくしたり、ちょっとしつこいデザインにしたりとこだわりも加速していった様です。

 もず串さんは「寄付を目的に作ったわけではないのですが、結果猫イベントにもお声がけ頂けるようになり、色々な保護団体さんを通じて猫の役に立ててうれしいです」と語っています。

 猫シールの制作を始めたのは2018年のこと。今では青(平成30年度)、赤(平成31年度)、黄(令和元年度)と3種類を販売しています。さらに、素材がフィルム素材のため水分・湿気に強いうえ、経年劣化もしにくく、色々貼って楽しめるとのこと。

 ちなみに、犬シールは玄関先の見える位置につけなければいけませんが、猫シールはどこに付けるのが正しい使い方なんでしょうか。もず串さんに伺うと、正しい使い方はないそうですが、もず串さんの知人の方には「玄関に貼ったら飛び出し防止にもなっていいですね」と言われたとのこと。宅配便の配達で玄関を開けたら猫が飛び出した、という事例は猫飼いあるあるなので、やはり犬の標識と同じく、玄関先に貼るのが一番良い使い道なのかもしれません。


 今後も、保護猫活動に取り組んでいくというもず串さん。寄付先は、もず串さんが飼っている猫を保護した方が所属している、ネスタ猫の会。会では毎月第1、第3日曜日の14:00~17:00に、杉並区西荻窪のレンタルスタジオMAREで「ネスタ猫の里親会」という保護猫の里親会を開催するなど活動を行っています。「ネスタ」とは、会の活動エリアである東京都練馬区(ネりま)・杉並区(スぎなみ)・世田谷区(せタがや)の意味だとか。

 もず串さんはその他にも、2019年11月2日~3日には渋谷novore miniで、イラストレーターの宮島亜希さんと猫イベントを開催するそうなので、ご興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

<記事化協力>
もず串さん(@mtstmk)
こだまさん(@eshi_ko)

(黒田芽以)