お芝居やコンサートの開演前、携帯電話やスマホなどの電源を切るよう放送があります。着信音が迷惑だからと思っているかもしれませんが、実は電波そのものが悪さをするって知ってますか?実際に起きたトラブルを例に注意喚起するツイートが注目を集めています。

 この注意喚起のツイートをしたのは、名古屋・伊賀・京都を中心にプロ忍者・俳優・イベントMCなどをしている竜斗(@ninjaryugo)さん。ハワイ、インドネシア、香港などで海外公演の経験もあり、2019年8月には台湾での公演を控えています。

 また、伊賀忍者特殊集団「阿修羅」直伝の技を伝承し、殺陣などを通じて忍びを国内外に発信している「伊賀之忍者衆 羅威堂(いがのにんじゃしゅう・らいどう)」でアクター兼殺陣師を務めており、伊賀で「羅威堂」殺陣教室も開催しています。

 竜斗さんは2019年7月25日付のツイートで「ミュとか観劇する人にステージ側の人からの注意喚起なんだけど電源onのスマホはもちろんwi-fiルーターやBluetoothでもキャストのピンマイクに干渉します。「音がならなきゃいい」ではないのです。電波を出すのがNG。あなたがほんのひと手間惜しんだせいで推しの声が聞こえなくなるなんて悲しいでしょ?」と注意喚起を行いました。

 これは名古屋城下にある施設「金シャチ横丁」で、公式キャスト「徳川義直、宗春と忍び衆」によるステージで実際に起きたアクシデントを踏まえて、竜斗さんが発信したもの。ショーの内容は、尾張藩初代藩主徳川義直と尾張藩7代藩主徳川宗春、2人の藩主が尾張名古屋の歴史や文化を未来へつなぐ伝承者として現代に復活、忍び衆とともに歌や演舞を繰り広げ、お客をもてなすというものです。

 ショーでは、事前に音響設備やマイクのテストを入念に行っていたにも関わらず、開演して観客が増えるとともに、演者に付けられたワイヤレスマイクからの音声が途切れ、使えなくなってしまったといいます。

 一体どうして?と疑問に思うかもしれませんが、これは観客が持っているスマホなどが原因なのです。これらの機器が発する電波が、ワイヤレスマイクの電波に干渉し、使えなくしてしまったのでした。

 ワイヤレスマイクが使用している電波は、一部Wi-FiやBluetooth機器が使用している電波と共通の周波数帯を使用しているものがあります。スマホやポケットWi-Fiルーターなどが発する電波が、いわば「妨害電波」となってワイヤレスマイクに悪影響を与えてしまうのです。

 スマホ1台ごとの発する電波は弱くても、多く集まるとその強度は大きくなります。ヒソヒソ声でも何百人も集まると、ザワザワした大きな雑音になるのを想像すると、理解しやすいかもしれません。周りに同じ周波数帯を使う機器が多すぎると、相互に干渉して信号が埋もれ、接続が不安定になってしまうのです。

 このツイートに対し、返信には実際にスマホから発せられる電波がスピーカーに雑音をもたらす場面の動画も投稿されています。スマホが発する電波がスピーカーのコイルに影響を与え、誘導電流が発生して音となってスピーカーから出てしまった実例といえます。

 こういったトラブルを防ぐためには、持っているスマホやポケットWi-Fiルーターなどの電源を切るか、電波を発しない状態にする「機内モード」に切り替えておくのが一番。お芝居やライブの観劇中はステージに集中したいものですから、そうしておいて不都合はないはずです。

 ちょっとした手間かもしれませんが、より良いステージを楽しむために習慣づけておきたいものですね。

<記事化協力>
竜斗さん(@ninjaryugo)

(咲村珠樹)