レッドブル・エアレースの2017年ワールドチャンピオン、室屋義秀選手が2019年7月27日、アニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の聖地として知られる大洗で初めてのエアショウを行いました。会場の大洗サンビーチでは、多くの人が室屋選手の妙技に酔いしれました。

 ガルパンの聖地として全国的に知られるようになった大洗町は、茨城県で最も多くの海水浴客が訪れる場所。エアショウの会場となった大洗サンビーチは海水浴場としてだけでなく、2019年の茨城国体でビーチバレーの競技会場にもなっています。台風6号の影響が心配されましたが、幸い良い天気に恵まれました。

 当日エアショウに使用したのは、レッドブル仕様のエクストラ300S(JA11DB)。まずはビーチの皆さんにローパスでご挨拶。次いで連続ロールや宙返りなどを見せてくれます。



 また、高く上昇してのハンマーヘッド(ストールターン)や、代名詞となっている急降下しながらの連続ロール「ムロヤ・ホイール」なども。


 エルロン(補助翼)とラダー(方向舵)の動きを組み合わせ、回転軸を斜めにした「タンブル」をしながらビーチに沿ってパスしていく姿などに、詰め掛けた人から歓声が上がりました。

 エアショウが終了した後には、大洗町役場に隣接する大洗文化センター大ホールでトークショウが行われました。会場の収容人数の関係で先着800人ということでしたが、始まる1時間以上前から大洗文化センターを行列が取り囲みます。

 ロビーには室屋選手のパネル展示があり、多くの人がレッドブル・エアレースでの活躍を興味深く見ていました。

 また、室屋選手に質問したいことを募集する箱も置かれており、レッドブル・エアレースのことや飛行機に関することなど、思い思いの質問を書き込む様子も見てとれました。


 ステージに室屋選手が登場すると、会場に集まった皆さんから大きな声援と拍手がおくられます。

 大洗町の小谷隆亮町長もトークショウ会場に来場。室屋選手にエアショウの感謝を伝え、9月のレッドブル・エアレース最終戦、千葉大会に向けて激励していました。

 トークショウは、大洗大使を務めるアニメ「ガールズ&パンツァー」の杉山潔アソシエイトプロデューサーの進行で進められました。今回のエアショウ実現までには、関係各所への折衝などを含め、およそ1年がかりであったことなども語られました。


 実は室屋選手、ふくしまスカイパークに拠点を移す前は茨城県内の飛行場を使っていました。このため、大洗にも馴染みがあるという話に、会場の皆さんも親近感を覚えたようです。


 来場者からの質問コーナーでは、レース前の「勝負メシ」は何かという問いに、レース中は大きなGがかかったりするので、あまり満腹にならない程度に消化の良いものを食べるとの回答。好物のラーメンはあまり良くないので、レースが終わった後の「ご褒美メシ」として食べるようにしているとのことでした。

 このほかにもエアロバティックのことや、室屋選手が取り組んでいる、子供たちを対象に航空から未来を考える教室「空ラボ」のことについても語ってくれた室屋選手。台風での悪天候が心配されたが晴れてよかった、と笑顔の室屋選手は「この後の花火大会まで晴れるようにしておきましたから!」と締めくくり、1時間半に及ぶトークショウは終了しました(実際に20時から始まった大洗海上花火大会は快晴のコンディションで開催されました)。

 欧米では海岸を舞台にしたエアショウがいろいろ開催されており、飛行場とはまた違った開放感あるロケーションがすてきなものです。また大洗のビーチでエアショウが開催されることを祈りたいですね。

取材協力:株式会社パスファインダー/大洗観光協会

(取材・撮影:咲村珠樹)