アメリカ空軍は、資材コマンドの研究組織であるオハイオ州ライト・パターソン空軍基地の空軍研究所(AFRL)が開発した低コストドローン(UAV)、XQ-58A“バルキリー”が2019年6月11日(現地時間)、2回目の試験飛行に成功したと6月17日に発表しました。陸軍が管理するアリゾナ州ユマの試験場で71分間の飛行を行い、試験項目を全て実施できたとしています。

 無人機(ドローン)は人間が乗って操縦する必要がないため、長時間の偵察飛行や危険な場所への飛行が可能になる便利な装備品。しかし現在アメリカ空軍で実用化されている無人偵察機は、RQ-4グローバルホークなどコストが高く、当初計画より調達基数を削減せざるを得ないほどです。危険でつらい任務を無人機で全て代替するには、コストをもっと低く抑えなければなりません。

 XQ-58Aバルキリーは、戦術機のコスト上昇傾向を打ち破るべく立案された、空軍研究所の低コスト小型航空機技術(LCAAT)に関するポートフォリオに基づき、無人機メーカーのクラトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズと共同開発した無人機。既存の無人機より安価で、必要十分な性能を持つことを目指しています。初飛行は2019年3月に、72分間実施されました。

 本計画のプログラム・マネージャー、ダグ・スチブルフスキー氏は「XQ-58Aは無人機を生産・調達がしやすく、実戦で投入しやすい方向へと変える低コスト小型航空機技術の実証機第1号です」とXQ-58Aの位置付けについて説明します。

 XQ-58Aは滑走路から離陸するタイプの無人機で、音速に近い速度で長時間飛行することが可能。また、多彩な装備を取り付けられる多用途性も有しています。今回の試験飛行について、クラトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズのスティーブ・フェンドレイ氏は「この大きな節目を迎えたことにより、近い将来さらに多くの機能についてテストすることができます。XQ-58Aの開発、製作、そして試験に至るまで、成功を続けてきたことを誇りに思います。クラトスと空軍研究所が共同で、このバルキリーの開発と技術実証を分かち合えたことに感謝しています」と、XQ-58Aの将来にも言及しています。

 より低コストで調達できれば、無人機は様々な方面に進出し、人間が行うことの難しい任務を代替できるようになります。XQ-58Aはまだ技術実証機ですが、低コストな無人機システムを確立することは、そう遠くないように思われます。

<出典・引用>
アメリカ空軍 プレスリリース
クラトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズ プレスリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)