アラスカで夏の訪れを告げるサーモン漁が解禁され、2019年5月17日朝(現地時間)にその第1便がアラスカ航空の特別塗装機「サーモンジェット」でシアトル・タコマ国際空港に到着しました。空港では恵みに感謝を捧げる伝統の「キス・ザ・フィッシュ」のセレモニーも行われ、今年最初のサーモンを歓迎しました。

 日本では新巻鮭に代表される「年越しの魚」としてのイメージが強い鮭(サーモン)ですが、アラスカの川を遡上して産卵するキングサーモン(マスノスケ)の場合、秋の産卵に向けて夏のうちから川にやって来ます。ここから数か月かけて、サーモンは産卵場所の上流までおよそ1000km以上も川を遡上していきます。このためアメリカで「アラスカサーモン」といえば、日本の初鰹と同じく「夏の訪れを告げる魚」という位置付け。サーモンを名物にしているレストランでは、待ちに待った季節到来というわけです。

 5月17日のフライトで到着した第1便は、アラスカの港町コードバを流れるカッパー川で漁獲されたキングサーモン。コードバは古くからサケ漁の町として賑わってきました。そしてその初荷を運んだアラスカ航空のボーイング737は、そのキングサーモンが機体に大きく描かれた“サーモンジェット”。この第1便では、およそ1万8000ポンド(約8トン)のカッパー川産キングサーモンがシアトルまで運ばれました。

 到着を祝うセレモニーでは、B737のコクピットからパイロットがキングサーモンを掲げて登場。どこかのテレビ番組なら「獲ったどー!」というセリフが聞こえてきそうなシチュエーションです。

 アラスカ航空のジェイソン・ベリー貨物部門マネージング・ディレクターは、セレモニーで「今年初の水揚げとなったカッパー川のサーモンを、私たちは世界最大の“空飛ぶサーモン”で運んできました――アラスカ航空“サーモン・3・サーモン”です」とジョークを飛ばし「私たちアラスカ航空の歴史において、アラスカの漁業をサポートするということは重要な位置を占めてきました。私たちはアラスカ州、そして漁業関係者が持続可能な漁業のあり方を構築し、世界で最も愛される魚のひとつであるサーモンを“サーモン好き”の人々にもたらしてくれることに敬意を表します」と述べました。

 カッパー川商業組合のエグゼクティブ・ディレクターであるクリスタ・フーバーさんは「アラスカ、コードバにとって活気に満ちたシーズンの始まりです。漁師たちにとっては楽しみな時であり、みな笑みを浮かべ、弾むような足取りでピカピカの漁網を積んだ船で出漁していきます」と、サーモンの町コードバの漁解禁について語っています。フーバーさんによると、今年は従来よりも多くの漁獲が見込めそうとのことで「カッパー川には5万5000のキングサーモン、そして150万のベニザケ(ソックアイ)が遡上すると期待しています」と述べています。

 初日となった5月17日は、午前中だけで5万ポンド(約22.6トン)のカッパー川産サーモンが空輸されました。これらのサーモンは全米各地にコールドチェーン(保冷配送)され、各地の食料品店やレストランで、人々の舌を楽しませることになります。

<出典・引用>
アラスカ航空プレスリリース

(咲村珠樹)