バージニア州ノーフォークで能力向上の改修工事を行っていたアメリカ海軍の空母、ドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)が2019年4月1日(アメリカ東部時間)、5日間の洋上試験を無事完了したとアメリカ海軍が発表しました。2017年のドック入り以来、久々の航海で乗組員たちは各部の機能点検や緊急時の訓練を行いました。

 アメリカ海軍のニミッツ級航空母艦の2番艦として、1977年に就役したドワイト・D・アイゼンハワー。タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦のサン・ジャシント(CG-56)、モンテレイ(CG-61)、ベラ・ガルフ(CG-72)、第26駆逐戦隊(DESRON26)のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦スタウト(DDG-55)、マクファール(DDG-74)、オスカー・オースチン(DDG-79)、ジェームス・E・ウィリアムズ(DDG-95)、トラクスタン(DDG-103)、そして第3空母航空団(CVW-3)とともに第10空母打撃群を構成します。

 空母アイゼンハワーは、2017年からバージニア州ノーフォーク海軍基地にあるドックに入り、定期能力向上改修工事を行ってきました。この工事が完了し、様々な試験や検査が行われてきましたが、実際に航海しないと検証できないものがあるため、洋上試験が実施されたというわけです。3月28日にノーフォークを出港したアイゼンハワーは、バージニア州の沖合で全力航行試験や全速回頭試験といった航行能力に関わる試験のほか、航空機運用に欠かせないカタパルト試験などを行っています。

 また、通称「ダメコン」と呼ばれる、損傷時のダメージコントロール(応急復旧)訓練も行われます。格納庫では、火災時に泡状の消火剤がスプリンクラーから噴射されるかどうかの試験を実施。問題なく作動することが確認されたら、デッキブラシで消化剤をかき出します。




 同様のスプリンクラー試験は飛行甲板でも行われます。飛行甲板では海水をくみ上げ、周りに噴射するタイプのスプリンクラーが設置されています。こちらも終了したら甲板清掃の時間。なにしろ1.8ヘクタールもある飛行甲板ですから、清掃するのも一苦労です。






 身体を動かしたらお腹がへります。もちろん、厨房設備の試験も行われます。こちらはノーフォーク停泊時にも行われていましたが、航海中の調理はまた違った環境になるので、チェックしておかなくてはいけません。




 洋上試験を終えたアイゼンハワーの艦長、カイル・ヒギンス大佐は「試験は滞りなく完了し、これからの任務に期待できる状況です。実際の任務を始めるにあたり、十分な準備はできました。あとは飛行甲板に航空機を迎え、発着艦訓練を待つだけです」とコメントしています。

 ヒギンス艦長の言葉の通り、次は第3空母航空団(CVW-3)“チーム・バトル・アックス”のVFA-32、VFA-83、VFA-105、VFA-131、VAQ-130、VAW-123、HSC-7、HSM-74を乗せた艦隊即応最適化計画(OFRP)の最初の段階を迎えます。「まだまだ戦列復帰には時間がかかりますが、洋上試験を終えて、我々は高いモチベーションを持って進んでいます。訓練を重ねてより良く、より素晴らしくなっていきますよ」と、ヒギンス艦長は次の段階を心待ちにしている様子です。

Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)