女の子の健やかな成長を祈って飾られる雛人形。最近では、雛人形を家に飾る習慣も薄れてきていますが、ひとたび雛人形を目にするだけで、春の訪れを感じることができます。そんな雛人形に、少しアレンジを加えて毎年飾っている人がいました。

 「うちの雛人形、楽器無くしたせいで毎年僕のグレッチのミニチュア持ってるから」と、白髪の老爺の手にあるのは槍でも立傘でもなく、ギター! そのギターを抱えている老爺も「よきかな」といった表情を浮かべています。リプライでは「ギターの持ち方がジミヘン」「カッティング上手そう」と、見慣れぬロックな雛人形に一瞬で心を奪われた人も多いようです。

 こちらをTwitterに投稿したのは、「酸辣 via tattva」というユニットで音楽活動を行っているスッピーメンへさん。もともとスッピーメンへさんの自宅で飾られていた雛人形ではなく、元持ち主の家が離散して、引き取り手がいない状態で倉庫に眠っていたものをお母様とおばあ様が、引き取ってきたものとのこと。そして、このギターのミニチュアは、スッピーメンへさんが中学生の頃、コンビニで購入したもの。老爺だけ手に持つ飾りがなくなってしまったことをきっかけに、夜中悪ふざけで持たせてみたそうです。今では、雛人形の中でも、ロック担当になってしまった老爺。それに家族にもウケが良かったとのことで、10年近く毎年ギターを持たせて飾っているそうです。

 ちなみに、スッピーメンへさんのおばあ様の話によると、もともとは槍をもっていたそうなのですが、それも昔のことなので定かではない様子。もし手に槍らしきものをもっていたとしたら、この雛人形は楽器をもつ五人囃子の一人ではなく、立傘(先に袋がついているので槍っぽくも見える)などをもつ三人一組の仕丁(雑用係)ということも考えられます。

 そんなスッピーメンへさん家の雛人形は、今年喪中だったこともあり、今回は少し遅めの2月4日大安(立春の日)に飾ることになったとか。雛人形を出す時期は、地域や家庭によって習慣がことなります。早い家では「正月明け」、その他「立春の日」「2月の大安」などがあり、さらにひな祭り自体を3月3日ではなく、旧歴3月3日にあたる4月3日に行うところも。逆に片づける日にも様々あり、翌日の朝や当日夜など。そのまま出しっぱなしにすると「祝う娘が婚期を逃す」という考え方があるようで、娘を持つパパたちの中には「しばらくこのまま出しといてーー!」と言い出す人も……。家庭によってやり方が様々あるひな祭り。雛人形を飾ることで家族の思い出が蘇るきっかけにもなりそうです。

<記事化協力>
スッピーメンへさん(@psychedelic322)

(黒田芽以)