今、日本中で猛威を振るっているインフルエンザ。日本全土の殆どに「インフルエンザ警報」が発令されるなど、多くの人が発症しています。そんな中で、インフルエンザ予防を啓蒙するツイートが注目を集めています。

 広告マンのツイッタユーザー、jinさんが描いたインフルエンザの予防漫画は映画「カメラを止めるな!」のタイトルになぞらえて「インフルエンザの予防を止めるな!!」。これはjinさんの実体験をもとに描かれています。ちなみにこのタイトルについては、Jinさんが「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督にTwitterで報告したところ、RTして紹介してくださったそうです。

 正月に旧友と会ったjinさん、旧友の「熱が下がったから大丈夫だよ」の言葉に嫌な予感を覚え、結果、インフルエンザに。

 年明け早々に発症し、5日間休職、その間は部屋から出ずに家族とも顔を合わせないようにしていたとの事。「誰にも移さない」を気を付けていたのでした。jinさんの職場には人一倍、インフルエンザ感染に気を付けている同僚さんがおり、その人の母親が高齢かつ心臓に病気を持っているので、絶対にかかる訳にはいかない、と「家族を守るために最大限の努力をしている」のだそう。

 そこでjinさんは想像してみました。もし、仕事仲間や電車内の隣の人は、受験生や赤ちゃん、高齢者などの家族ではないか?この咳で移らないって言い切れるのか?大事なのは、「大切な誰かに移さないために何をするべきか、何をしないべきか」という事。「移されない、だけではなく移さない」事が大事であると伝えています。

 インフルエンザは感染後、約1日前後で風邪症状や高熱といった症状で発症します。ワクチンを接種していると、何となく風邪っぽい症状で済んでしまう場合もありますが、これはワクチンの抗体がウイルスに対抗しきれずに発症してしまう事によります。学校保険安全法では、インフルエンザの出席停止期間の基準が「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」となっています。発症した日からかぞえると、最短でも6日間の出席停止が必要ということになります。これは、解熱した後でもウイルスが体内に残っている事を踏まえて定められています。

 しかし、大人社会では「熱が下がったらすぐ仕事をしろ」という、圧力みたいなものを感じられる職場も多いのでは。「インフルエンザかも?」と思っても、市販の風邪薬や解熱剤で熱を下げて無理やり出勤する人も少なくありません。しかし、その通勤過程で誰かに移す事になってしまったら?無自覚のバイオテロを起こしているのに等しいと考えてもいいのではないかと思います。職場に「り患証明」や診断書を出す必要があるところもあるようですが、その証明書を出すために夜間診療所や救急外来に行く人も多いのではありませんか?インフルエンザになってしまったら、医療機関にかかって適切な治療を受ける事は大切です。でも、その前後の行動が不特定多数がいる場所に出る事に繋がるのであれば、その移動手段自体を一考する必要があるのではと筆者は思います。

 徒歩圏内に医療機関があればそこに徒歩で行く事に越した事はないのですが、バスや電車を使わないとたどり着けないところであれば、家族に車を出してもらう、「インフルエンザかもしれない」旨を伝えてタクシーにお願いする、などの手段を考慮する必要もあるかもしれません。先日も、インフルエンザにかかった女性がホームから転落して電車にはねられたという痛ましい事故が起きました。自分の命を守る為にも、誰かの命を守る為にも、インフルエンザの予防はかかる前からかかった後まで続けて欲しいと思います。

<記事化協力>
jinさん(@jinn_n)

(梓川みいな / 正看護師)