毎年15万人が来場する食と農林漁業の祭典「JAPAN HARVEST 2018 丸の内農園」が、2018年11月3日から東京の丸の内地区で始まりました。丸ビル1階のイベントスペース、マルキューブの特設ステージではオープニングイベントのほか、日本の米の魅力を語るトークショウ「日本の米は世界一」、高校生による地元農産品を使ったオリジナル料理コンテスト、第7回「ご当地!絶品うまいもん甲子園」の表彰式などが行われました。

 農林水産省が“消費者と生産者のきずなを深める”、“日本と世界のきずなを深める”をコンセプトに、毎年東京の丸の内地区で開催している食と農林漁業の祭典、それが「JAPAN HARVEST 丸の内農園」です。丸の内仲通りでのマルシェのほか、丸ビル1階のイベントスペース、マルキューブでは数々のステージイベントが開催されます。

こくさん(左)もちくん(右)

こくさん(左)もちくん(右)

 オープニングイベントでは、主催者である農林水産省食料産業局の食文化・市場開拓課長のほか、農業に従事する女性たちで結成された「農業女子プロジェクト」、田畑と森と海でつながる学生団体「いろり」、トークイベント「和食ステージ」、「日本の米は世界一ステージ」の代表、そして幸せふくらむキャラクタ「もちくん」と、FOOD ACTION NIPPONマスコットキャラクターの「こくさん」が登場。「ジャパン・ハーベスト!」の掛け声でイベントの開催を告げました。

 マルキューブの特設ステージ「JAPAN HARVESTステージ」では、最初のイベントとして、日本の米が持つ実力を再認識するトークイベント「日本の米は世界一」が行われました。司会は野菜ソムリエであり雑穀エキスパートの王理恵さん。

 トークゲストは、社団法人日本健康食協会専務理事であり、社団法人食アスリート協会副代表理事を務める柏原ゆきよさん、東京大学野球部監督の浜田一志さん、元アーティスティックスイミング日本代表の青木愛さん、お笑いコンビ「ニューロマンス」のおにぎりさんです。おにぎりさんはお笑いの世界に入る前はバレーボールの選手で、実業団の新日鉄で中垣内祐一(現:男子全日本監督)さんらとチームメイトだった経歴を持っています。


 柏原ゆきよさんによると、ご飯(米飯)にはたんぱく質も含まれており、日本人はそれを摂取しやすい肉体的特徴があるそうで、栄養指導をした元WBCライトフライ級チャンピオンの木村悠選手選手を例に、ご飯中心の食生活に変えて、体重の変化なしに筋肉量などが増えたことを紹介しました。

 また、現代人は「低糖質ダイエット」などで米を食べなくなっており、その影響で2010年時点の平均摂取カロリーは、戦後間もなくの1946年(1903kcal)より低い値(1849kcal)になっているとか。その反面、脂質の摂取量は摂取カロリーのピークである1960~1970年代(20%)よりも多い27%となっており、この主な原因はご飯を食べないことでおかずの比重が大きくなり、結果として脂質の摂取量が多くなっていると考えられるんだそうです。

 浜田一志さんによると、東大野球部では1人あたり1日7合のご飯を食べるんだそうです。体を作るためにご飯は欠かせない存在で、6合は身体づくり、そして残り1合分は脳の活動のためのエネルギーとしているとか。

 やはりスポーツ選手は消費カロリーが大きい分、たくさん食べる傾向にあるようで、青木愛さんは現役時代、泳ぐスタミナをつけるために「とにかく食べろ」と言われ、1日4500kcalを摂取していたとか。アーティスティックスイミングは栄養管理がしっかりしていて、食べたものを毎回コンピュータに登録することで、足りない栄養素などをアドバイスするようになっているそうです。

 実業団の新日鉄でバレーボール選手をしていたニューロマンスのおにぎりさんは、身長193cm。現在の体重は100kgを超えているそうですが、バレーボールをしていた現役時代は1日6合のご飯を食べていても60kg台だったといいます。王理恵さんもお父さんの王貞治さんが現役時代、米のご飯を食べることにこだわっていたエピソードを紹介していました。

 ステージ上のスクリーンでは、「日本の米は世界一」(2015年リリース)という曲を歌っているバンド、打首獄門同好会からのビデオメッセージが。この曲を書くきっかけになった、おいしいご飯の食体験や、そこから米作りを始めてライブ会場で販売したり(恐らく米をライブ会場でグッズとして販売しているバンドは日本唯一)している話を紹介してくれました。ちなみに「日本の米は世界一」が収録されたアルバムのジャケットには、農林水産省が推進する「FOOD ACTION NIPPON」の公式ロゴが入っています。


 ゲストの皆さんに「今までで最高の和食体験」をうかがうと、浜田さんは故郷の「じゃこ飯」、青木さんは海外遠征から帰ってきた時に食べる家のご飯が最高だと答えていました。


 印象的だったのは、おにぎりさんの「無人島生活が終わった直後に食べた弁当」。テレビの企画で34日間無人島でサバイバル生活をした後、スタッフから渡されたお弁当、本人言うところの「無人島弁当」を一口食べたところ、それが北海道に住むお母さんが作ってくれたものだと一瞬で判り、涙が止まらなくなったそうです。

 柏原さんは稲刈りした田んぼで炊き立てのご飯を食べたことが一番だとか。これも贅沢な経験です。

 そしてここでステージに「FOOD ACTION NIPPON」マスコットキャラクターのこくさんが、大きなおにぎりを持って登場。会場にいるすべての人に、おにぎりを試食してもらうことに。会場の方の感想で「塩だけのおにぎりがこんなにおいしいとは」という声も聞かれました。

 最後にゲストの皆さんがご飯に関するメッセージをまとめると、浜田さんは「勝ちたきゃ米食え」、青木さんは「一日一膳」、柏原さんは「心と体を元気にするご飯とみそ汁」。米のご飯にかけている栄養素は大豆が多く補ってくれているそうで、特に発酵食品のみそを使ったみそ汁は、ご飯と組み合わせるには最高のパートナーだとか。




 おにぎりさんは「売れる」と一言。これは日本の米がもっと売れてほしいとともに、自分も芸人としてもっと売れたいという二重の意味があります。芸人のコンビ名などにご飯を連想させる名前がついているのは「芸で飯を食えるようになるぞ」という意気込みを示しているんだそうで、笑い飯の場合も「お笑いで飯を食うぞ」という決意の表れだと話してくれました。

 続いてのステージは、全国の高校生にによる、地元の食材を使ったオリジナルメニューを競う「第7回『ご当地!絶品うまいもん甲子園』」の表彰式。全国の予選を勝ち抜いた8校が決勝を戦い、その結果が発表されます。優勝校にはメンバーと顧問教員のハワイ旅行や、フランス料理店オテル・ド・ミクニのフルコースのほか、全校生徒にダイドードリンコ株式会社から飲み物がふるまわれるという豪華版です。

 そのコンテストで見事優勝したのは、京都府の福知山淑徳高校。食物科は調理師養成施設として認可されている学校です。メニューは京都府綾部産のお茶を練りこんだバンズに、舞鶴(旧日本海軍の舞鶴鎮守府)が発祥とされる肉じゃがと京野菜をサンドしたハンバーガー。吉川貴盛農林水産大臣から賞状が渡されます。



 この「ご当地!絶品うまいもん甲子園」決勝のメニューは、実際に丸の内仲通りのマルシェで数量限定で販売されています。福知山淑徳高校のメニューは早々に完売。ブースにはほかにも中丹地方産の茶葉を使ったほうじ茶のティーバッグが並んでいました。

 丸の内仲通りは「丸の内農園」と題したマルシェを開催。農業女子による農産品の軽トラ市をはじめ、農作物の収穫体験やみかんの袋詰め放題セールなど盛りだくさん。





 丸の内を訪れた多くの人が、食と農林漁業の様々なイベントを楽しんでいました。この「JAPAN HARVEST 2018 丸の内農園」は、11月3日・4日の11時~16時、丸の内仲通りで開催しています。

取材協力:農林水産省

(咲村珠樹)