体は人間、頭はオウム。こんな鳥人間が夢に出てきたら、暫くうなされてしまいそう……。この写真は「信玄餅」や「水信玄餅」でも知られる山梨県の老舗和菓子屋「金精軒」さんが投稿したもの。なんでも新店舗準備のため片付けをしていた際にたまたま出てきたという鳥人のマスク。金精軒がある地域には子供会があり、町の大人達が協力して秋にはみんなで御神輿を担いだり、節分には豆まきをしたりと様々な季節行事が行われているそうです。

 その節分行事で使われたというこの鳥人のマスクですが、かなり鳥感強め! 毛ばだった羽、大きなクチバシ、無機質な目……。こんなのが突如現実に現れたらと想像するだけで、鳥肌が立ちそうです。

 投稿では「豆をまくと鬼役は逃げるが鳥人が襲ってくる」「豆をまかないと鳥人は動かないが鬼が襲ってくる」究極の選択肢に子供たちを恐怖のずんどこに落とした記憶がまるで昨日の事のように蘇りました」と、鳥人としては懐かしい思い出の1ページとして残っているご様子。でも“ずんどこ”って……なつかしい!正しくはどん底ですね。

 かたや、恐怖のどん底に落とされた子どもたちにとっては、尋常ではないほどガチ泣きする体験だったに違いありません。

 鳥人の中身の人に当時のことを聞いてみたところ「もともとオウム鳥のマスク(ドンキホーテで購入した)を所持しており、節分行事に参加するにあたり、これを被ることを思いつきました。私が節分会場に遅れて参加することになったので、ただ遅れるくらいならオウムを被って乱入してやろうと試してみたのが始まりでした」とのこと。

 しばらく窓からじっと節分の様子を眺めたのち、気がついた子ども達がざわつき始めたところでスーツを着た鳥人が登場! そのまま窓から乗り込み「豆を食べたいねぇ!?」と叫びながら豆をまく子どもに近づき、まかれた豆を貪り食い、豆がまかれなくなると止まるという……アドリブをかましながら、子どもたちを恐怖のずんどこ、いやどん底に陥れたとか。

 他の大人たち(地域の皆さん)は、爆笑しながら「豆に寄ってきてるから気をつけて!」といった事を子供達にノリノリで説明してくれ、鬼もアドリブで合わせてくれたので何とかやりきることが出来たそうですよ。

 それにしても、いきなりの「鳥人」の登場にさぞかし子どもたちも驚いたのではと思ったら、案の定、泣きながら「出て行け!」と叫んで鳥人を窓に押しやろうする子どももいたとか。

 鳥人的には、「怖いのに逃げずに押してきたのは驚きました」と子どもたちの勇敢な姿にびっくりしたようでした。因みに、鳥人乱入で「鬼は外~、福は内~」の掛け声が「鳥は外~、鬼も外~」に変わったりしなかったのか伺ったところ、それは無かったそうです。

 この他にも、日頃から面白い突拍子もないことを常に考えているそうで、最近では「お付き合いがある埼玉のお菓子屋さんに無闇にヤシの実ブラを送りつけて困惑されておりました」と、使用方法にちょっと困ってしまうような代物まで所持していたそうな……。これに対して、その埼玉のお菓子屋さんの反応はというと「金精軒さんから何か送られてきたけど、これは何か山梨に古くから伝わる縁起物なのではないか? もしくは器か何かだろうか?」とこちらもユーモアたっぷりに受け取っていたそうです。「このような感じで日頃から非日常的なものを常備しており、オウムもその延長になります」と、鳥人の中身の人は、茶目っ気たっぷりな人でした。

<記事化協力>
金精軒(@kinseiken_jp)

(黒田芽以)