地獄の釜の蓋が開いたかのような暑さに見舞われている日本では、救急搬送される人や死者が相次いでいます。長野県の佐久医師会が運営している「教えてドクター佐久」で紹介されている熱中症対策が分かりやすいと好評です。

 熱中症対策のパンフレットは、同サイトで紹介されており、熱中症についての説明が分かりやすく記されており、予防の為の知識も記載されています。熱中症は軽症と言われる1度から重症の3度の3段階で分類されており、1~3度のそれぞれの観察ポイントが簡潔かつ分かりやすくまとめられています。


 重症度によっての対応もそれぞれ記載されており、1度の場合は涼しい場所へ避難し、体の冷却と水分補給、それでも改善しない場合と2度の場合は自家用車ですぐに受診へ、意識がない、ぐったり感がつよい、または重度である3度の場合は直ちに救急車を呼ぶ様パンフレットに案内があります。

■ 強い炎天下の中では水分補給しても熱中症の危険が

 気温が35度以上の日が続き、室内と屋外の温度差で体調を崩しやすくなっている人が増えています。特に、強い日差しを直接浴びる事は肌にも大きなダメージを与えます。皮膚の火傷のひとつとも言われる日焼けは、皮膚のバリア機能を崩壊させ、皮膚の水分の保持も困難となってしまいます。さらに、帽子や日傘などで日光を遮らない事による頭皮の日焼けも頭部の皮膚ダメージが大きいもの。こういった日焼けによる皮膚の炎症は、体力にも影響してきます。

 また、高温下の活動では汗の気化熱だけでは体を冷やすのにも限界があり、水分をしっかり摂っていたのに熱中症になって搬送されたという例も軒並み見られてます。特に、乳幼児や低年齢の小児は汗をたくさんかいても体の中にこもった熱が上手く発散されない事もあり、熱中症になりやくすなります。また、高齢者も温度差を感じにくくなり、体感的に暑さを感じなくなる事と、トイレの回数を気にして水分を控えてしまう事で脱水症状を起こしやすくなり、熱中症になる危険が高まります。

■ 熱中症は予防が何より大事!!

 予防の基本は、適切な温度と湿度の環境で過ごして水分もしっかりと摂る事。しかし、日々の通勤や部活動、外せない用事での外出や子供がどうしても外に遊びに行きたいと出て行ってしまう事もあり、なかなか室内でずっと過ごすのも難しい状況な人も多いかもしれません。大人であれば熱中症の症状を覚えておく事と小まめな水分補給、自主的に涼しい場所に避難するなどの行動がとれますが、乳幼児や低年齢の小児は自主的な行動は難しいもの。子供の体調は身近な大人が管理し、遊びたがっても時間を決めて強制的にクールダウンする時間を取り、体の冷却と水分補給をさせるという事も必要となってきます。冷却には市販の冷感スプレーはほぼ効果がありません。保冷剤や水分を含んだタオルなどで体を拭いて風を当てるなどして効果的な体の冷却が必要です。

 また、高齢者についても、時間を決めて水分摂取を促す、トイレは我慢しないよう配慮を整える、エアコンを使いたがらない場合は生命維持に必要なものである事を粘り強く説明する必要もあるかもしれません。市販の熱中症アラームを活用するのも手段の一つ。テレビやラジオなどの高温情報のチェックももちろんですが、室内での熱中症を予防するためにも、熱中症アラーム付きの温湿度計を活用して予防に努める事が重要です。

■ 大事な命を守るために

 東京消防庁の発表によると、1日における救急出動の最多件数が更新され、昨年の熱中症での搬送件数を上回るペースで出動しています。また、名古屋市消防局も「23日の名古屋市消防局の救急出動件数は661件(速報値)で、1日の件数として過去最多」と、救急出動件数を報告している様に、熱中症で搬送されている人が非常に多い状態です。同局によると、熱中症は昼前から多くなり、昼過ぎにピークに、21時頃までが熱中症の多い時間帯と指摘しています。

 命の危機に直結する熱中症、予防の為の知識を手元に置いておき、いつでも活用できるようにしておく事が大事です。先述の「教えてドクター佐久」のサイト内には熱中症についてのPDFをダウンロードできるページがあるので、各自で活用して、子供からお年寄りまで幅広い世代で救急搬送されないよう、夏を乗り越える工夫を行いましょう。

<引用・参考>
教えて!ドクター
東京消防庁公式ツイッター(@Tokyo_Fire_D)
名古屋市消防局公式ツイッター(@NagoyaShobo)

<記事化協力>
教えてドクター佐久さん(@oshietedoctor)

(梓川みいな/正看護師)