2020年の商用サービス開始を目指す次世代移動通信技術「5G」を判りやすく学べる無料の小学生向け夏休みワークショップが、東京スカイツリータウンの東京ソラマチ5階にある「PLAY 5G 明日をあそべ」で開催されています。初日となった7月23日の様子を取材しました。

 5Gとは、現在提供されているLTE(4G)の次となる「第5世代移動通信技術」の略称。これまでよりさらに高速・大容量で、低遅延などの特徴があります。今小学生の子供たちは、ちょうど初めて自分の携帯電話を持つ頃には、初めから5Gの端末を手にする、いわば「5Gネイティブ」の世代といえます。そんな世代に向けて、5Gの特徴を判りやすく解説するのが、このワークショップという訳です。

 お姉さんの「携帯電話で何ができる?」という質問に、ゲームやメールなど、色々な答えが返ってきます。お父さんやお母さんなど、家族の人が使っている携帯を借りて使ったりするので、よく知っていますね。

 このワークショップで色々教えてくれるのが「5G博士」こと、NTTドコモ5Gイノベーション推進室の岸山祥久さん。普段は神奈川県横須賀市にあるNTTドコモの研究拠点で5G技術の研究開発をしています。

 5G博士の解説で、携帯電話の歴史をおさらい。最初はカバンのような大きさで、通話しかできなかったのが、今は小さく軽くなって、しかも色々なことができるようになりました。

 端末の進歩とともに、通信技術も進歩しています。情報を送る通信回線の速さや容量を道路とそこを走る自動車に例えて解説。2020年の商用サービス開始を目指す5Gでは、飛躍的に速く大容量になるため、広い道に飛行機やロケット(スペースシャトル)まで描かれています。


 一通り解説が終わると、今度は工作の時間。オリジナルの砂時計を作ります。左右2か所のバックになる部分に思い思いの絵を描いて、カラフルな砂を封入していきます。


 完成すると、上から下へ砂が落ちていく砂時計が完成。よく見てみると、左右の砂時計は真ん中にあるくびれた部分の幅が違い、砂の落ちる速度が違います。これは現在使われている4Gと、これからの5Gの速度差を砂時計を使って視覚的に表したものになっているのですね。

 5Gの特徴について学んだら、今度は体験のコーナー。離れた所にある建設機械を動かす様子を見学して、次は「ジオスタ」で、AR(拡張現実)を使った新しいスポーツ観戦の形を体験します。端末をコースにかざすと、走っているマシンの位置がリアルタイムで表示されます。

 それだけでなく、個々のマシンのオンボード映像を表示して、レーサーの視点で楽しむ見方も体験できます。5Gでは、様々な視点で楽しむだけの情報を一度に送ることができる、ということを実感できるわけですね。

 最後には、5Gの低遅延を体験できるコーナー。4Gと5Gで、離れた場所にいる人と、旗揚げゲームとじゃんけんをしてみます。4Gでは情報の送信と受信で時間がかかり、反応が少し遅れてしまうのですが、5Gでは遅延がほとんどなく、まるで同じ場所にいるかのようにゲームが楽しめます。一緒に歌ってみても、きれいに輪唱が決まったりとリアルタイムで離れた場所の人とやりとりができることを体験しました。

 実際に体験した感想を聞いてみると、砂時計づくりで、右と左(4Gと5G)で砂の落ちる速さが違うのが面白かったとのこと。「5G博士」こと岸山さんも、子供相手で普段学会で行っている発表と勝手が違う部分があるそうですが、逆に子供たちは反応が正直で、研究者としての常識とは違った着眼点が新鮮だそうです。今回対象となっている小学生世代は、初めて持つ携帯電話が5Gの端末となるため、5Gを先入観なく受け入れてくれる世代。だから子供たちからのフィードバックは、新しい5Gの活用法などのヒントをくれると語ってくれました。

 この小学生向け夏休みワークショップは、このあと8月1日、8月14日、8月23日の3日間開催予定。参加費は無料で、用意するものも特にありません。各日13時〜、14時30分〜、16時〜の3回実施(※8月23日(木)は16:00〜17:00のみ)しており、各回の開始1時間半前に参加整理券を配布します。空きがある場合には直前でも参加が可能とのことなので、東京ソラマチ5階の「PLAY 5G 明日をあそべ」まで足を運んでみてはいかがでしょうか。

取材協力:株式会社NTTドコモ

(咲村珠樹)