東京・市ヶ谷にある東京アニメセンター in DNPプラザで、2018年7月13日から企画展「アニメと鉄道展 アニメが描く美しい鉄道」が始まりました。

 鉄道が登場する人気アニメを集め、その鉄道描写やその裏側を紹介するこの展示会、開幕前の7月12日に行われた記者発表会&プレス向け内覧会に、鉄分ダダ漏れで貧血気味の筆者が行ってきました。

 会場は市ヶ谷駅の新宿区側となる市谷田町、DNP(大日本印刷)のサインポールが目印のDNPプラザです。記者発表会には銚子電鉄の旧制帽を着用した「女子鉄アナウンサー」こと久野知美さんの司会で、日本テレビ系バラエティ「笑神様は突然に…」で「鉄道BIG4」と称される4人のうち、岡安章介さん(ななめ45°)、同じく鉄道BIG4の南田裕介さん(ホリプロダクションマネージャー)、そして元アイドルでママ鉄の豊岡真澄さんの3人が登場。岡安さんは「岡安車掌」の衣装で、そして南田さんも国鉄時代の「動輪マーク」の制帽を着用していました。

 鉄道ネタでも知られるお笑いトリオ「ななめ45°」ですが、今日は土屋さんと下池さんは「運休(電略:ウヤ)」とのことで、お1人での登場。豊岡さんは身長150cm以下のメンバーで構成された3人組アイドル「P-chicks」でデビューしたのち、ソロとなった時のマネージャーだった南田裕介さん(豊岡さんは「みなみだん」と呼んでいた)の趣味によって、イベントを都電6000形の貸切車両で行なったり、寝台特急さくら(1レ)のレポートをしたりしているうちに、いつの間にか鉄道が好きになっていたという経歴を持ちます。2007年に結婚をし、2008年に妊娠を機に芸能界を引退した後は、鉄道文化人「ママ鉄」として活動中です。

 豊岡さんを「鉄子」の道へ誘った南田さんは、一応ホリプロダクション社員で、今回の司会を務める久野さんらのマネジメントを担当しているのですが、テレビ朝日系バラエティ「タモリ倶楽部」をきっかけに鉄道でのテレビやイベント露出が目立つようになりました。奈良県出身なので、好きな車両は「近鉄3000系(奈良線系統で運用されていた近鉄唯一のステンレス車両)」と答えていました。

 このようなメンバー構成での鉄道トークなので、話は盛り上がり、基準となる速度種別に違反して暴走気味になることがしばしば。時々司会の久野さんが徐行指令を出してトークの運転整理に入るのですが、盛り上がりはなかなか収まりません。結局基準運転時分(発表会終了予定時間)をオーバーして終着、とあいなりました。

 「アニメと鉄道展」の会場では、鉄道が印象に残るアニメ作品を取り上げて、その紹介と鉄道シーンの裏側を展示しています。そのまま鉄道(列車)を舞台にしたロードムービーじたての名作「銀河鉄道999」から展示が始まります。

 2016年に放送された「笑ウせぇるすまんNEW」第3話のBパート(後半部分)では、寝台特急電車583系が主役とも言える「ああ、愛しの583系」という回があります。鉄道好きのサラリーマン、加米良鉄也が喪黒福造の誘いで583系電車に乗って旅をするというお話。モデルになった583系電車は、JR東日本秋田車両センターに2017年まで在籍していたN-1+N-2編成。会場にはそれをモチーフにしたNゲージ鉄道模型のジオラマが展示されています。



「笑ウせぇるすまんNEW」でモチーフになった583系6両編成(2009年10月18日・青森駅にて咲村珠樹撮影)

 沼津を舞台にし、伊豆箱根鉄道と積極的なコラボを展開している「ラブライブ!サンシャイン!!」のコーナーでは、伊豆箱根鉄道で運行された特別ヘッドマークの紹介や、3000系電車のラッピングトレインをフィーチャーした、鉄道がタイトルに出てくるAqoursの「HAPPY PARTY TRAIN」の実写MVも上映されています。国鉄や西武鉄道からの払い下げ車ではない、自社発注した新型車であるこの3000系電車が登場した時、三島から修善寺まで乗ったことを思い出します。実写MVは伊豆箱根鉄道駿豆線内でのロケなので、アニメMVのモチーフになったJR九州豊後森駅にある旧豊後森機関庫は登場しないのがちょっと残念なところ。


 2018年夏アニメの「ISLAND」では、1999年が舞台となっているので、その当時の東京の鉄道を描写するために、どのような考証をしたのか……というメイキングが紹介されています。

 また、2018年春アニメの里好さん原作「踏切時間」そして西武鉄道が製作したオリジナルアニメ「ちちぶでぶちち」の紹介コーナーも。「踏切時間」に登場した踏切の紹介や、「ちちぶでぶちち」に登場する西武鉄道の車両などがパネルで紹介されています。

 大規模なジオラマとともに大きく取り上げられているのが、再起動が発表された「機動警察パトレイバー」。劇場版第2作「PATLABOR2 the Movie」のクライマックス直前に登場する「幻の新橋駅(旧東京高速鉄道新橋駅)」と、そこへ至る経路をパネルと新保光利さんのNゲージジオラマで再現しています。

 劇場版第2作では、イングラム3機を乗せた無蓋貨車はモーターカーに牽引され、丸ノ内線から赤坂見附駅の連絡線を使って銀座線に入り、「幻の新橋駅」からスイッチバックしてジオフロントへ通じる放棄された線路へ入線する……と推測されます。実は地下鉄の連絡線を使って……というアイデアは、初期OVAシリーズ(アーリーデイズ)の「二課のいちばん長い日」でも、有楽町線桜田門駅と千代田線霞ケ関駅を結ぶ短絡線(新木場検車区ができる前、有楽町線から千代田線の綾瀬検車区へ車両を回送するために作られた)を経由するシーンが出てきます。

 ジオフロントのジオラマは雰囲気がよく出ています。銀座線2000形車両の前には、幻の新橋駅をターミナルとして使用していた東京高速鉄道100形の模型もあり、解る人には解る仕掛けが。

 そして98式を積載した貨車の前には小さなフィギュアが。まるで「散々利用して悪いんだけどさ、荒川さん。あんた逮捕するよ」と後藤警部補が言って、後ろから松井刑事たちが荒川茂樹を拘束する……というシーンが目に浮かびます。会場にいらした作者の新保さんにうかがうと「まさにその瞬間のシーンです」とのこと。つい続く荒川の「一つ聞かせてくれ」から、最後の「……なぁ、俺がここにいるのは、俺が警察官だからだが、あんたなんで柘植の隣にいないんだ?」「……」「行こうか」というやりとりまで再現するパトレイバーファンもいるでしょうね。

 この他にも守屋丈志さんによる「仲六郷駅前に暴走レイバー出現 第2小隊出動せよ」は、京浜急行仲六郷駅前で暴走する菱井ブルドッグと98式イングラムとの捕り物の様子がよく再現されています。いかにも作品中にありそうなシチュエーションですね。


 駅前商店街の看板や、電柱に貼られた看板を見ると、全てパトレイバーに関わりのあるスタッフの名前が入っています。立ち食いそばの食べ方に一家言ある押井守監督の名は、やはり立ち食いそば屋に。その隣には、劇場版でのプロデューサーで、再起動版「EZY」でもプロデューサーを務める人物(当時東北新社、現ジェンコ社長)の名が。これもファンにとっては見飽きない作品です。

 滝川晃さんの「東京アニメセンターin DNPプラザにレイバー出現」は、会場周辺市ヶ谷駅の情景を再現したジオラマ。すぐ近くにある防衛省(陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地)から97式改が出てきた様子になっています。この97式改についているガトリング砲をはじめ、それぞれのパーツは可動。様々なポーズをとることができます。150分の1とNゲージと同じ縮尺で作られているので、Nゲージ用のジオラマパーツ(ストラクチャー)と簡単に組み合わせて楽しめるようにできているとか。



 大きなジオラマ(レイアウト)にも、そこかしこにレイバーが風景に溶け込んでいます。劇場版第2作「PATLABOR2 the Movie」で動かないまま攻撃ヘリによって壊されてしまったAV-2ヴァリアントの姿も。

 これに続く展示は、詳細に描かれた街並みや日常生活、そして軍艦や飛行機、爆弾が落ちて炸裂する様で多くの人に感銘を与えた映画「この世界の片隅に」。当時の広島駅や呉駅、呉線を走るC59牽引の急行列車などの考証について紹介されています。呉線は横須賀線と同じく、海軍の要請が強く働いた路線で、線路規格も東海道線などと同じものが用いられていました。また、海岸沿いの平坦なところを走るため速度を出しやすく、東北本線に対する常磐線のように山陽本線の急勾配区間(セノハチこと瀬野〜八本松)を避けるバイパスルートとして、大型機関車が牽引する1等車を連結した急行列車(7・8レ)が東京から大阪から運転されたりしていたのです。

 また、人気クリエーターによる鉄道をモチーフにしたイラストや、JR東日本の協力を得たヘッドマークコレクションも見もの。特急と急行ばかりの中に快速列車だった「エキスポライナー(1985年、茨城県筑波郡谷田部町で開催された国際科学技術博覧会「科学万博つくば’85」輸送用臨時列車)」のヘッドマークがあるのも興味深いところです。


 奥には24系金帯車と白帯車をモチーフにした巻き取り式方向幕の展示も。これは日によって表示される列車名と行き先が変わるのかもしれません。

 非常に盛りだくさんの展示となっている「アニメと鉄道展」。昔の国鉄長野駅の入場券と同じくらいのサイズとなっている、硬券仕様の入場券は中学生以上1000円(税込)、小学生500円(税込)ですが、リピーターのために「定期券」(税込1500円)があります。絵柄は「笑ウせぇるすまんNEW」「機動警察パトレイバーEZY」そして「ラブライブ!サンシャイン!!」の3種。それぞれの絵柄を選んで、会場で自分の名前を入れることができます。

 これ以外にもTシャツやトートバッグにヘッドマークや方向幕などの鉄道グラフィックスを組み合わせてオリジナルのグッズが作れる「FUN’S PROJECT MARKET」商品の販売コーナーや、鉄道とコラボしたアニメグッズ、キャラクターグッズなども販売しています。

 鉄道とアニメの関係をもっと知りたくなる特別展。これを見たらアニメの鉄道描写が気になってしまうかも?

【アニメと鉄道展】
会期:2018年7月13日~8月19日(火曜定休)
時間:11:00〜20:00(最終入場19:30)
会場:東京アニメセンター in DNPプラザ
公式サイト:https://animecenter.jp/

取材協力:東京アニメセンター in DNPプラザ

(咲村珠樹)