世の中には男性と女性という2つの性別がありますが、こと女性に関しては命を体内で育て産むための複雑な機能が備わっているだけに、その機能にまつわる様々なトラブルも付き物。

 しかし、先日にはある教育者の男性が「JK(女子高生)が制服のまま産婦人科に入っていった、避妊具も付けていないのか」といった勝手な決めつけをツイッターに投稿して大炎上する出来事がありました。さらに同じ女性の中にも「生理の重い軽い」を自己基準で判断して、生理が重い人に対して「大げさ」「生理は病気じゃない」など酷い言葉をなげかける人もいたり……。SNS上ではこのような“無理解”が度々注目をあつめ、特に若い世代が産婦人科・婦人科・女性外来を気軽に受診する妨げになるのではないかと懸念されています。そんな中ある漫画家さんのツイートが共感を集めていました。

 このツイートは女性向けコミックスを数多く手がけている漫画家のふくだもとこさんのツイート。「私の知人はお子さんが初潮を迎えたら、地元の女性外来につれて行って『もし身体のことでお母さんにも話せないことがあったら、ここの先生に相談しなさい』と言ったらしい。娘さんも知っているんだけど、その話の間ニコニコ笑ってた。『そりゃいい!』と絶賛であった。」という内容。

 母と娘という間柄って何でも話せるように見えて、意外と娘は上手く話せないもの。このツイートには共感の声が多く寄せられており、同様に「娘が初潮を迎えた時に自分の掛かりつけの産婦人科医を一緒に受診した」という声や、「相談内容にかかわらず、相談できる人や環境が整っている事が大事」という声も。

 筆者は看護師であり、これまでにも自分の子供や周りからちょっとした健康相談を受ける事がしばしば。今も時々調子が悪いという人に適切と思われる受診科を勧めていますが、性に絡む相談は今までの中ではほんのわずか。センシティブな内容であるだけになかなか相談し辛いのが実情です。

 生理痛や月経血の多さなどについてはだいぶオープンになってきているものの、特に性感染症の事や性交痛などパートナーが絡む事となるとさらに恥ずかしさもあって相談し辛いもの。ちなみに、性感染症はストレスからなる膣内の細菌叢のバランスが乱れることや、何らかの理由で細菌感染を起こして炎症を起こす事による膣炎から、性交による様々な感染症まで多岐にわたります。

 お腹が痛かったら内科へ、花粉症なら耳鼻科へ、心が不調な時に心療内科や精神科へ行くのと同じで、性器のトラブルがあった時に婦人科や女性外来に行くのは取り立てておかしな事ではないはず。現在、街の産婦人科医たちは少しでも受診のハードルを下げるべく、「女性のためのクリニック」「女性総合外来」という形をとるなどして受診率をあげる努力をしています。一昔前までは男性が多かった産婦人科医ですが、最近は女性医師も増え、プライバシーも尊重された診察を心がけているクリニックがかなり増えています。まずは安心してクリニックへ足を運べるか、そして「この医師なら安心して話せる」と思ってもらえるか。医師たちの努力は続いています。

 とはいえ、やはり知らない所へ、恥ずかしいと自分が感じる内容を相談しに行くのはかなりのハードルの高さがあります。親子だから余計に恥ずかしい、でも誰に相談したらいいのか分からない……そんな時の為に、先述のツイートの様に、地元の女性外来を前もってわが子に紹介しておく事はこれからの「生」と「性」を守るためにも大事な事。

 今、筆者は月経困難症とPMS(月経前症候群)で低用量ピルを内服しています。本当は娘を筆者がお世話になっている医師に託したいのですが、主治医は高齢男性。何でもカラッと受け止めてくれる、経験豊かな頼れる医師なのですが……娘は思春期真っただ中。男性医に対して抵抗が強いようで未だつれていくには至っていません。しかし、何かあった時にすぐに彼女がかかれる女性医師を見つけておこうと、今回のツイートをみて改めて強く思いました。

 そして、先述のツイートをされたふくださんの漫画「15センチの関係~カラダの悩みから病まで」は全世代の女性に読んで欲しい内容。女性外来を舞台にした物語で、不妊、性病、更年期障害など女性にかかわる様々な悩みが物語を通して描かれています。こんな素敵なクリニック、近くに通えるところにあるといいな、と思う人も多いかもしれませんよ。マンガ図書館Z・ピッコマ・マンガZEROなどで読むことができます。

<記事化協力>
ふくだもとこさん(@motoofficial)

(梓川みいな)