空からやってくる様々な脅威。特にドローンによる攻撃が現実味を帯びてくる中、現在最も有効な手段は迎撃ミサイルです。しかし現在ある迎撃ミサイル、例えばペトリオットの場合、1発数億円と高額で、たくさん配備するのは難しいもの。しかも小型の無人機や巡航ミサイルに対しては明らかにオーバースペックです。

 もう少し費用対効果の高い迎撃ミサイルはないものか……と考えていたアメリカ陸軍とロッキード・マーティンは、新たな「超小型迎撃ミサイル」を構想し、それを実験段階から開発段階へと移行させた、と2018年6月13日(現地時間)、フランスのパリで6月11日~6月15日に開催されていた世界最大規模の防衛・安全保障展示会「ユーロサトリ」で発表しました。

 「ミニチュア・ヒット・トゥ・キル・ミサイル(MHTK)」と名付けられたこの超小型迎撃ミサイル。アメリカ陸軍の巡航ミサイル防衛計画事務局は、ロッキード・マーティンに対して実用化に向けての開発を行うよう、260万ドルの予算をつけました。

 爆弾はおろか、野砲の砲弾すら精密に誘導されて着弾する現在、未来の戦場はほぼ「撃ち漏らし」は無いといっていいでしょう。つまりは狙われたら最後、という訳です。

 これに対して、相手から狙われにくくするのがステルス技術。それと同時に、飛んできたミサイル、砲弾、無人機などを確実に迎撃する手法が必要です。現在「レーザー砲」をはじめとして様々な手法が開発、検討されていますが、もっとも費用対効果が高く「おサイフに優しい」と考えられているのが、「安上がりな迎撃ミサイル」なのです。

 ロッキード・マーティンが試作した「ミニチュア・ヒット・トゥ・キル・ミサイル(MHTK)」は、ミサイル本体の全長が72cm、直径4cm。重さもわずか2.5kgしかありません。現在各国で一般的に使われる無誘導ロケット弾のロケット部(全長106cm、直径7cm、重さ6.2kg)よりも小さく、見た目は模型のようです。

MHTKの概要(Image:Lockheed Martin)

 しかしその内部にはセンサーなどが詰め込まれており、飛んでくるミサイルや砲弾、無人機を的確に捉え、その弾頭で破壊する(Hit-to-Kill)といいます。

 すでにアメリカ、ニューメキシコ州にあるホワイトサンズ・ミサイル実験場で発射実験が行われており、2018年1月26日に行われた最新の発射実験では、ミサイルの進路を制御して飛翔させることにも成功しています。小型だけに飛距離(有効射程距離)は短いのですが、目前まで迫っている脅威を確実に排除してくれれば十分でしょう。

 おそらく見た目同様「お手頃価格」になりそうな超小型の迎撃ミサイル「MHTK」。迎撃ミサイルの弱点として、迎撃ミサイルの数が足りなくなるほどの多数で攻撃する「飽和攻撃」に弱い、とされてきましたが、このMHTKでは、連発式のロケット花火のように多数のミサイルで迎え撃つことができそうです。

Image:Lockheed Martin

(咲村珠樹)