アフガニスタン各地でタリバン勢力との戦いを繰り広げているアフガニスタン軍。アフガニスタン空軍は、A-29スーパーツカノ軽攻撃機で地上部隊の近接航空支援(CAS)を行なっていますが、2018年3月以来、アメリカ軍の援助のもと、レーザー誘導爆弾を使用していることも明らかになりました。

 A-29は、アメリカ空軍がアフガニスタン空軍に供与しているエンブラエルEMB-314スーパーツカノ軽攻撃機の名称。アメリカのフロリダ州にある工場で製造され、アフガニスタンへ空輸されています。ブラジル空軍では単座型をA-29と呼称していますが、アメリカ空軍とアフガニスタン空軍では複座の機体となっています。

 主翼内に12.7mm機関銃M2が2挺装備され、主翼下のパイロンに70mmロケット弾ポッドを携行する形になっています。また、近接航空支援で低空を飛行するため、搭乗員の生存性を高める工夫として、コクピット左右に増加装甲が取り付けられました。2016年1月から供与が始まり、2018年3月現在では12機のA-29が運用されています。

 アフガニスタン空軍のA-29にレーザー誘導爆弾、GBU-58ペイブウェイの運用能力が付加されたのは2018年3月。対応機種には機首下面に球形のレーザー照射ポッドが取り付けられており、判別は容易です。

 アメリカ空軍が明らかにしたところによると、アフガニスタン空軍のA-29がGBU-58ペイブウェイを初めて実戦使用したのは、2018年3月22日。2018年5月11日までに30回の出撃中、50発以上のレーザー誘導爆弾をタリバンの施設や車両などに投下し、命中率は96%。地上部隊の作戦遂行が30%改善したといいます。

 精密な誘導ができ、命中率の高いレーザー誘導爆弾の効果について、アフガニスタン空軍のA-29パイロットは「タリバンは一般市民のいる市街地などに潜伏しているので、我々は正確に攻撃できるレーザー誘導爆弾のおかげで、一般市民を傷つけずに攻撃できます」と語っています。

 アフガニスタンで、アフガニスタン空軍の支援を行なっているアメリカ空軍第438航空遠征教導飛行隊の隊長、ジャスティン・ウィリアムズ大佐は「使用している爆弾は、アフガニスタンの人々の手によって製造され、アフガニスタン人が整備するの自国の飛行機に搭載されて運用されています。レーザー誘導弾の使用により、アフガニスタン空軍はより厳しい状況下でも任務遂行が可能になり、一般市民の犠牲を抑えつつ戦場での優位性を確立しています」とコメントしています。

 アフガニスタン空軍では、全部で20機のA-29の供与を受ける予定です。レーザー誘導爆弾の運用能力を付加することで、地上のタリバン兵に対する掃討能力が向上し、アフガニスタン政府軍地上部隊の勢力拡大につながることが期待されています。

Image:USAF

(咲村珠樹)