2018年3月4日(現地時間)、トルコのイスマイル・デミル国防産業次官は自身のTwitterで、装甲戦闘車両用のアクティブ対戦車ミサイル防御システム「AKKOR PULAT」の試験に成功したと発表しました。相手の対戦車ミサイルを迎え撃つ形で防御する、ユニークなシステムです。

 PULATはトルコの軍事大手アセルサン社と、トルコ科学技術開発研究所が共同開発したシステム。2008年から研究が始まり、2015年からは国防産業次官の予算のもと、開発が続けられてきました。そして2018年3月4日、デミル防衛産業次官が自身のTwitterで試験に成功したことを明らかにしたものです。

 PULATはレーダーシステムと迎撃システムで構成されます。戦車など装甲戦闘車両の端部に各方向に向けた迎撃システムを装着し、360度をカバーする仕組み。レーダーによって対戦車ミサイルの接近を検知すると、対応する場所にある迎撃システムから散弾を発射し、ミサイルを物理的に破壊します。このため「アクティブ防御システム」と呼称しているのです。

PULATのシステム解説(Image:ASELSAN)

PULATのシステム解説(Image:ASELSAN)

 レーダーを使っているために、砂塵や悪天候などで光学センサーや赤外線センサーが働きにくい場面でも、的確に接近する対戦車ミサイルを捉えることができ、確実に迎撃が可能だといいます。また、レーダーユニットはコンパクトで、迎撃ユニットは取り付ける場所を選ばないので、多くの装甲戦闘車両に装備することが可能。汎用性の高さもアピールしています。

 艦艇に搭載されている個艦防御システムCIWS(Close In Weapon System=近接防御火器システム)のように、近くまで接近したミサイルを弾幕で物理的に破壊するというユニークな防御システム。そう何回も使えるものではなさそうですが、いまや戦車の敵は戦車ではなく対戦車ミサイルという時代なので、このアクティブ防御システムの需要は大きそうです。

Image:ASELSAN

(咲村珠樹)