陸上自衛隊唯一の空挺部隊、第一空挺団恒例の「降下訓練始め」が2018年1月12日、千葉県船橋市の習志野演習場で小野寺防衛大臣出席のもと、開催されました。昨年に続いて、共同訓練で交流のある在アラスカ・在日アメリカ軍の空挺部隊も参加し、様々な落下傘の花が大空を彩りました。(取材・咲村珠樹)

 降下訓練始めは、前段・後段の2段階で訓練展示が実施されます。今年の前段展示は、普通科主体のヘリボーン作戦による作戦遂行の様子。まず先遣隊としてUH-1Jに搭乗した普通科隊員が展開します。

 続いて高機動車と120mm迫撃砲を懸吊したCH-47Jが登場し、地上に装備を降ろします。さらに120mm迫撃砲を取り扱う特科隊員がCH-47Jからファストロープで降下し、後方からの火力支援のため、迫撃砲の発射準備を整えます。



 さらにCH-47Jに乗った普通科隊員がファストロープで降下。体制を整え、本隊となる部隊がCH-47Jから降り立ち、進撃を始めます。


 後方からは120mm迫撃砲による火力支援。もちろん実弾を発射するには演習場の広さが足りないので、砲の近くで少量の発煙火薬を爆発させて発射の様子を模擬的に再現します。



 普通科部隊は軽装甲機動車に搭載した重機関銃M2の火力支援を受けつつ、最終段階の進撃。占領された陣地を奪回して訓練シナリオは終了しました。


 前段展示が終わり、上空から小野寺防衛大臣らVIPを乗せたヘリコプター、EC225LPが近づきます。下では防衛大臣旗を持った出迎えの隊員が。

 防衛大臣が席に着き、準備が整ったところで後段、空挺降下展示が始まります。今回は降下する隊員の一部が、目の前でヘリコプターに乗り込むところから公開されました。陸上自衛隊の隊員はUH-1J、在アラスカ・在日アメリカ陸軍の空挺隊員はCH-47JAに乗り込みます。

UH-1Jに乗り込む空挺隊員


CH-47JAに乗り込むアメリカ空挺隊員

 まず、安全に降下できるか確認する試験降下が行われたのち、高度およそ1400mを飛行するCH-47JAから、自由降下資格(FF)を持つ隊員が自由降下を行います。後ろのカーゴランプからポンと飛び出し、しばらく生身で滑空しながら降下した後、自由降下傘MC-4を開傘。自由に進路をコントロールしながら降りてきます。


 続いて、各種落下傘の紹介を兼ねた降下が行われ、その後一般隊員による降下が行われました。UH-1Jから降下した陸上自衛隊員は、オリーブ色をしたM696M1(通称12傘)を使って降りてきます。

 アメリカ軍は、丸く開くT-10パラシュート、四角く開くT-11パラシュートを使って降下。それぞれ自衛隊で使っているものとは違う、独特のデザインが目を引きます。

T-10パラシュートで降下するアメリカ空挺隊員


T-11パラシュートで降下するアメリカ空挺隊員

 ヘリコプターからの降下が終わると、今度は航空自衛隊のC-1(第402飛行隊)、C-130H(第401飛行隊)両輸送機から、新型の13式空挺傘を使った連続降下です。国産の落下傘である13式は、M696M1よりもパラシュートが潰れにくく、空中でぶつかっても安全性が高いため、機体の両側から連続して降下することが可能です。降下にかかる時間は半分になり、それに伴い隊員の降下範囲(ドロップゾーン)も小さくなるので、降下した後に部隊が集合する時間も短縮され、結果として展開が迅速に行えます。


 しかし今回は予期せぬトラブルが発生。4番機のC-130Hから降下した隊員の落下傘が、開傘時に他の隊員の体に絡まってしまい、開かなくなりました。しかし冷静に予備傘を開き、降下してきます。

落下傘が絡まり予備傘を展開

 通常、主傘が開かなかった時は、それを切り離して予備傘を開くのが手順です。しかし今回は主傘が他の隊員に絡みついて離れなくなっているため、切り離すとかえって危険だと判断したのでしょう。下の隊員が声をかけ、2人が上下に繋がったまま降下し、無事両者とも着地に成功しました。不意のトラブルにも冷静に対処できるのも、練度の高さゆえです。

互いに絡まったまま降下する


下側の隊員が着地


上側の隊員も無事着地

 最後にもう一度、C-1とC-130Hからの連続降下でフィナーレ。落下傘により、大空に無数の花が開きました。

 今回の降下訓練始めは平日の開催にも関わらず、多くの一般来場者で賑わいました。訓練展示に戦車など他の部隊からの車両がなく、終了後の装備品展示も行われませんでしたが、空挺降下という部隊の本分に立ち返った訓練展示だったと言えるでしょう。