突然ですが、ダチョウの肉が食用として存在している事を知っていますか?テレビでは見た事があるけど食べた事はない、という人が大半かと思うのですが、筆者もつい先日まではそのうちの一人でした。しかし、名古屋市内にダチョウ料理を出してくれるというお店があると聞きつけ俄然興味を持ち、先日ついにダチョウ肉をモリモリ食べてきましたのでご紹介したいと思います。(見出し画像・真白 彩(@ayamajiro ))

 行ってきたのは、名古屋市中区栄3丁目にある「アジアン創作酒場 デニケン’s 2号店」。雑居ビルの一角にあるそのお店、ビルの入り口には「”純国産”のダチョウ 食べられます」の看板。ダチョウって国内の農園から仕入れができるのか……。

ビル入り口の目印

 階段を上がってビルの中へ。お目当てのお店は右側手前、すぐに見つかりました。入り口の看板からして盛大にダチョウを推しています。


 早速店内に入りメニューを見ると……ダチョウ肉を使った料理がこれでもかと言わんばかりに。タルタルステーキ、刺身、ユッケ、生ハム、あぶり寿司、ソーセージ、焼き肉、しゃぶしゃぶ……他にもありましたが、このメニューの頭にはすべて「ダチョウの」が付きます。今回は友人らと5人での来店。あまりにもダチョウ料理が目白押しすぎてオーダーを決めるのにも一苦労でしたが、生肉好きな筆者ともう一人はユッケと刺身の盛り合わせを、他の友人たちはソーセージやしゃぶしゃぶなど好きなものをオーダーしてシェアする事に。

 まず来たのが、ダチョウのユッケ。

ダチョウのユッケ

 乾杯した後、早速ひと口。ダチョウ肉って臭みが殆どないんですね。よく味わってみても、肉自体の臭みはなく生肉の甘みと牛肉のユッケに近い食感で違和感なし。ユッケにあえてあるタレのスパイスが効いててよくマッチしています。

ダチョウ肉ソーセージ

 ユッケの生肉を味わっているとダチョウのソーセージが到着。
ひと口食べてみると、ソーセージの皮のパリッとした食感とジューシーな肉汁が口の中に広がり、スパイスとよく調和していて美味しい!スパイスが効いているといっても臭みをごまかす感じではなくアクセントを付けている感じ。旨味はしっかり感じます。

 お次に来たのが、刺身5種盛。部位はフィレ、砂肝、もも、レバー、心臓。付けダレは、刻みわさび醤油、おろしにんにく醤油、塩ごま油の3つ。フィレと砂肝はわさび醤油で、レバーと心臓は塩ごま油がお勧めでおろしにんにくはどれと合わせても美味しいとの事。

ダチョウ刺身5種盛

 では、順に。フィレは噛むと口の中でほどける感じで赤身魚に近い味わい。マグロに近いかも。一緒に食べた友人も、「これは何も言われずに食べたらマグロだと思う」とコメント。やっぱり臭みは感じられません。生肉が苦手な友人も思い切ってチャレンジしてみたら「意外とイケた!これは美味しい!」とびっくりしている模様。

 次は砂肝。こちらは見た目からして白っぽいのですが、食べた感じもコリコリした白身魚の刺身に近い感じ。味わいは獣肉とも魚ともつかない何とも不思議な感じですが、わさびを効かせた醤油がよく合いました。(ちなみにこの刻みわさびだけでもだいぶ美味しかったのはここだけの話)

 ももは、ユッケにも使われていた部分。こちらは上2種よりもぐっと獣肉に近い食感なのに、やはり臭みはありません。醤油を少しだけ付けて肉の味を確かめていても、全然違和感を感じず食べる事ができます。

 レバーは鶏の生レバーに近いトロリとした甘みのある食感。しかし、鶏や他のレバーに比べたらやはり獣肉の臭みはそれほど感じず。こちらは塩ごま油とにんにく醤油で頂きましたが、どちらにも生レバーの甘い味わいが良く合っていました。

 最後に心臓。これも鶏肉の生心臓に近いのかな?レバーよりも控えめな甘みとコリっとした感じの食感が楽しい。総じてクセの少ない味わいで、獣肉の刺身が苦手という人でもあまり抵抗なく食べる事ができそうに感じました。

ダチョウステーキ丼

 丼もので何か食べたい、という友人のオーダーのステーキ丼は、ダチョウのステーキをミディアム焼きにしたものがご飯の上にドーン。火を通したダチョウ肉は生肉に比べると若干のクセが出てくる感じですがバターの風味がとても合っており、ジューシーな肉質は食べ応えあって満足感の高い味わい。これはご飯が進むヤツだ!!一緒に食べた友人も「これめっちゃ美味しい!!」

ダチョウステーキ

 そして出てきた、ダチョウのしゃぶしゃぶ。この肉はももの部位だそうでそのまま刺身にしてもイケるとの事。

ダチョウのしゃぶしゃぶ(写真は2人前)


ももの部位 / 画像・真白 彩(@ayamajiro )

 店長さん曰く「火を通しすぎると食感も味も変わってくるのでさっと火を通すくらいがちょうどいい」と。ではさっと湯通ししてポン酢で頂きます。火を通すことで表面が締まり、しっかりとした食感に。しかし中の方はレアなので生肉のレアなジューシーさが残っている感じ。ひと口で2つの食感が楽しい。刺身でも行けるという事で刺身醤油が付いてきたので、生と火を通したものと両方食べ比べる事ができるのも楽しいです。こう食べ比べてみると、生の方がお勧めとなるのが納得できます。それだけダチョウは生肉の旨味が楽しめる食材。さいごはナシゴレンを食べてしめました。

 ダチョウは肉を食べたり卵を食べたりする食用の他、オーストリッチの革製品の原料となったり骨からは良質なスープが取れたり、羽は羽毛の材料になったり装飾品になったり、脂は化粧品に活用、角膜や脚の筋は医療に応用できるか研究が進んでいるという、全身余すところなく活用できる鳥。

 全国的に見てもダチョウ料理を提供しているお店はまだまだ少ないと思いますが、たまには変わったものを食べたいって時にオススメできると思います。また、ダチョウ肉は牛肉や豚肉に比べて脂身が少なく低カロリーなのに鉄分の含有率が高く、カルニチンやクレアチニンが豊富に含まれているので脂っこさは求めていないけど肉系のタンパク質が欲しい時にも良さそう。ちなみにかかった費用はこれだけ食べて一人3千円ほど。一皿一皿は千円~3千円ぐらいしますが、人数でシェアすればその程度で収まります。ランチタイム(11:30)からオープンして千円からダチョウ丼など食べられるという事なので、今度はランチタイムにも行ってみたいと思います。

ダチョウステーキ丼 / 画像・真白 彩(@ayamajiro )

(梓川みいな)