あと2週間ほどで冬のコミケット(コミックマーケット93)。参加サークルは新刊が出せるかどうかの瀬戸際です。

 コミケの歴史も40年を超え、親子2代でサークル参加(中には孫を連れた人も)するケースも目につくようになりました。しかし、子供が小さいうちは、どうしても参加しにくいもの。子供が生まれたことで、同人活動を引退してしまう人も多く、筆者のサークルメンバーもそれがきっかけで同人活動を引退しました。そんな現状に、一人のママさんが始めた取り組みが話題を呼んでいます。

 同人イベントに参加したいパパ・ママのために出張託児サービス「にじいろポッケ」を企画し、代表を務めているのは四辻さつきさん。同人活動が趣味の2児のママさんです。自身が同人イベントに参加する際、子供を早朝から長時間預けること、そしてイベント開催日が日曜または祝日で、預かってくれる施設が少ないことがネックとなっていたことから、イベント会場の近くで安心して預けられる託児所を作れないか……というところから「にじいろポッケ」を企画したといいます。

2017年夏のコミケのための託児の様子

 2017年1月29日に開催された同人イベント「COMIC CITY 東京139」に合わせて、会場近くの施設を借り初めての託児を実施。その後3月20日、5月3日・4日のイベントに合わせた託児も実施して経験を積み、8月のコミックマーケット92に合わせた託児を行いました。託児・保育にあたるスタッフは、NCMA,Japanが認定する「チャイルドマインダー」資格を持つ経験豊富なシッターさん。実際に利用した親御さんの評判も良かったようです。

 しかし、このプロジェクトは同人イベントの主催者とは全く関係のない、個人ベースで行っているもの。利用者に費用の負担をお願いしているものの、資金難により今後の継続が難しくなってきたといいます。

 そこで、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で支援の募集を開始したところ、わずか22時間で目標額の100万円を達成。2017年12月12日現在、資金を出資したパトロン数は276人、支援金額は270万円に届こうとしています。それだけ切実にこういう場を欲している方が多いということですね。

 目標額は達成しましたが、これ以降の継続的な活動を長期間にわたって確実にするため、支援の募集は「CAMPFIRE」で2017年12月21日23時59分まで受け付けています。

 これと並行して、12月29日〜31日に予定されているコミケット93に合わせて実施する託児の利用者も募集しています。参加者で混雑するビッグサイト周辺ではなく、都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅近くにある民間学童保育所の広いスペースを借りて行う予定だそうです。今回は立体的なプラレールのレイアウト作りで知られる「ぺたぞうでんしゃ王国」とのコラボも始まるとのこと。利用可能年齢は0歳7ヶ月〜12歳まで、定員は利用者の年齢構成によって10名〜20名となり、10名の場合1人あたりの面積は24平方メートル(東京都における認可保育所の基準は、0〜1歳児の乳児室の場合3.3平方メートル以上、2歳以上の保育室の場合1.98平方メートル以上)と広々。

 2018年に開催される同人イベントに合わせた受付も一部開始しているとのことですので、参加を予定している方は自分の参加予定イベントの日程・会場と重なるか、「にじいろポッケ」公式サイトで確認してみてください。

(咲村珠樹)