命を落とす危険性もある「パンケーキシンドローム(パンケーキ症候群)」ってご存知ですか?名前だけ聞くと「パンケーキ食べたいよぅ」と禁断症状を訴える病気に思えますが違うんです。とある出来事から発症したTwitterユーザーのさくさん(@39saxan)の実体験漫画が話題になっています。

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■お好み焼きを食べたら呼吸困難に

 ある日、自宅にて家族の皆さんと夕食にお好み焼きをつくって食べていたさくさんは、口の中がピリピリする感触を覚えたそうです。おかしいなと思いながらもいつも通り過ごしていたところ、食事を終えてから10分後に軽い呼吸困難に。一緒に食事をした娘さんもお風呂の中で息苦しくなり、旦那さんにも喉がイガイガする症状が現れたそうです。慌てて食べたものの食材をチェックしたところ、お好み焼き粉の賞味期限が1年半過ぎており、さらにずっと常温にて放置していたことが発覚。

 夜間の救急病棟に向かうことになりましたが、その間もさくさんと娘さんの症状は悪化していきました。



■医師「聞いたことがない症状」

 病院に到着し医師から問診を受けたさくさん。しかし担当医師から「お好み焼き粉で、そのようなアレルギー症状が出るとは聞いたことがない。アレルギー反応だとは思うけど、明朝にアレルギー科を受診するように」と言われたそうです。その間にもさくさんには嘔吐と下痢の症状があり、ひどい蕁麻疹が出ている娘さんは点滴を受けたそうです。

 幸い、翌朝にはほぼ回復していたそうですが、「十分恐かった」とさくさんは作中で語っています。

■原因は粉物の中で大量発生したダニ

 翌朝、アレルギー科を受診したさくさん。しかしながら、そこでも担当医師は「わからない」。専門の病院への紹介状をもらい遠方の病院まで足を運んだそうです。

 そこでようやく国立病院の担当医師から「数年前からメディアで取り上げられていますが、古い粉にはダニが繁殖しているんですよ」と聞かされ、一連の症状が“パンケーキシンドローム”と呼ばれるものだったことがわかったそうです。


■パンケーキシンドロームとは

 開封した粉物に何かのきっかけでダニが入り込んでしまい、常温で保存することでダニが大量発生することがあります。そのダニ入りの粉を使った料理を食べると、ダニやその糞尿などがアレルゲンとなってアナフィラキシーショックを引き起こすというわけです。ちなみにパンケーキシンドロームは病名としては「経口ダニアレルギー」と呼ばれています。

 東京都福祉保健局などでも注意を呼びかけており、ダニの繁殖は賞味期限や消費期限に関係なく、小麦粉、片栗粉、特にホットケーキミックスやお好み焼き粉のように旨味が入った粉物にダニが入り込んで高温多湿の状態で置かれたら充分起こりうるものだそうです。また「ダニアレルゲンは熱に強く、加熱調理をしてもアレルギー症状の発現を防ぐことはできません。」と注意がされており、開封した粉物は暗所に置くのではなく、必ず密閉して冷蔵庫に保管し早めに使い切るようにするのが望ましいようですね。また常温で長く置いてしまった粉物は捨てる勇気も大事!「もったいない」とつい思いがちですがそこは潔く捨ててしまいましょう。


 また、さくさんは「この症状は医療機関でもまだ認知度が高くないので、誤診には注意してください」と語っています。
必ずしも医師が知っているわけではなく、アレルギー科の医師ですら知らない可能性もあるこの病気。自分やお子さんの命を守るために知っておいて損のない知識ではないでしょうか。

・画像提供:さくさん(@39saxan)

(大路実歩子)