手にはめていた軍手に瞬間接着剤の液がついた瞬間高熱を感じた--。

 あるTwitterユーザーがこんなことをつぶやいたところ、接着剤大手の株式会社セメダイン公式Twitter(@cemedinecoltd)が、「瞬間接着剤は、繊維に染み込むと、化学反応が急激に促進され火傷をするほどの高熱を発します。お怪我はなかったでしょうか」と声をかけ注目を集めています。

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 瞬間接着剤が布・裏革に接着すると発熱し「やけどの恐れがある」というのは注意書きに書かれているため、「知ってた」という人がいる一方、つい見落とし「知らなかった!」という声も多くあがっています。

 そこで、今回注目されるきっかけとなったセメダイン株式会社、さらに有名瞬間接着剤「アロンアルフア」を販売している東亞合成株式会社の二社にそれぞれ詳しい話を聞いてみました。

■セメダイン

 今回話題に上っている「瞬間接着剤」。セメダイン社によると、同社の対象は「セメダイン3000シリーズ」となるそうですが、同社の製品に限らず、どのメーカーの瞬間接着剤でも同じ現象が考えられるそうです。

 もともと瞬間接着剤の硬化時には多少の発熱が起きるとのことですが、繊維に付着することで毛細管現象により急速に表面積が拡がって、同じく硬化反応も急速に進行することで、普段ならわずかな発熱のはずが今回のように高温を発生させることがあるとしています。

 染みこんで発熱した場合の温度は、染みこむ量など条件によるそうですが「急速な反応によって発生することですので、基本的には数秒から数十秒の間に、発熱量の大きい場合は100度程度まで温度が上がることが考えられます」とのこと。 反応する繊維については、特定の種類によるものではなく「繊維質に染み込むことが要因」となるため、「綿でもポリエステルでも発生しますし、紙繊維であるティッシュでも発生することがあります」と答えています。

 ちなみにネットで一部、「セメダインに軍手やばい」的な意見が散見されていますが、セメダインとは接着剤の総合ブランドであり種類も様々あり、今回話題となっているのはその中の一つ「瞬間接着剤」。この話はあくまでも「瞬間接着剤」に限定されるそうです。

■東亞合成

 そしてアロンアルフアを発売する東亞合成社によると、瞬間接着剤が繊維に付着した場合の現象については、セメダインとほぼ同様の回答。ただし、「急速に硬化反応が進み場合によって白煙を上げて発熱します」と、より反応の強い例をあげています。

 特に「ポリエステル系、およびアセテート系」の場合は100度前後まで温度が上昇することが確認されているとのことで、「衣服に大量に染み込んだ時は脱がずに大量の水で冷やして下さい」と対処方を説明してます。

■瞬間接着剤を使うときはポリエチレン手袋を!

 しかしながら、接着剤が手に付着するのが嫌で素手での使用はためらわれるという人もいますよね。そういうときは軍手は使用せず、ポリエチレン製手袋などを使用するようにしてください。そして、普段の生活において特に気をつけたほうがいいものは、セメダイン社も例にあげた紙繊維であるティッシュ。軍手よりもより身近にあるため、付着した瞬間ついティッシュで拭おうとして熱さを感じたという場合も……使用する際は充分に注意するようにしてください。

 なお、セメダイン社によると「瞬間接着剤」というのは通称であり、接着剤の分類としては「シアノアクリレート系接着剤」となるそうです。殆どの瞬間接着剤のパッケージに「主成分:シアノアクリレート」と書かれているそうなので、手元にあるものが何かを知りたい時には、主成分を確認してください。

<協力>
セメダイン株式会社
東亞合成株式会社

(大路実歩子)