本稿では昭和36年の映画『アワモリ君乾杯』をご紹介します。

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映画本篇の方は、主演の坂本九以下歌手が何人も出演する爽やか青春コメディーなのですが、クライマックスではギャング団を追って世田谷の東宝撮影所で捕り物を繰り広げます。まずは、『世界大戦争』(昭和36年)の田村家のセットに乱入。この場面では松林宗惠監督、フランキー堺、乙羽信子、星由里子も登場します。

捕り物の際、『アワモリ君乾杯』側の登場人物が田村家の居間の卓袱台を登ってセットを横断するのですが、この時のフランキーのリアクションが愉快です。あれは台本通りだったのだろうか。
続いて『大坂城物語』(昭和36年)の冒頭に登場した方広寺の大仏が登場、坂本九とジェリー藤尾がよじ登っています。さっきから色んなものに登りすぎ。更には特撮映画で使われた縫いぐるみやプロップが満載された倉庫に舞台は移ります。『大怪獣バラン』(昭和33年)のバランが飛んでくるわ、『日本誕生』(昭和34年)の八岐大蛇と『モスラ』(昭和36年)のモスラ成虫の目玉の電飾が光るわ、『宇宙大戦争』(昭和34年)のナタール人が闊歩するわ、殆どポルターガイスト状態。ギャング団がモスラ幼虫の中に隠れる場面もあり、『宇宙大戦争』のスピップ号も画面に映っていました。当時の東宝撮影所の様子が分かる、貴重な映画でした。

(文:コートク)

※写真はイメージです。本文とは関係ありません。