郡上踊り千葉県出身者なら高確率で「菜の花体操」ができる、長野県出身者なら確実に「県歌」が歌えるなど、世の中には、ある地域の出身者ならば必ずできる謎の文化が潜んでいます。

このコーナーではそうした特定地域に絞った「○○民ならできること」をご紹介しています。


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第2回目となる今回は、読者から投稿があったこちらの文化。

『岐阜県の郡上八幡(ぐじょうはちまん)民は病人や怪我人でない限りは100%「郡上踊り」10曲を踊れる』

です。

 
――岐阜県の郡上八幡民は100%「郡上踊り」10曲を踊れる

読者からの情報によると

岐阜県の郡上八幡(ぐじょうはちまん)民は病人や怪我人でない限りは100%「郡上踊り」10曲を踊れます。
特に見分けやすいのは、8月13~16日の午後8時から明方まで夜通し踊り続ける徹夜踊り。
深夜になると演奏陣の気まぐれでペースが変わるのですが、高速演奏時には年に1~2日参加している程度の常連ではフラフラになったり笑ってしまい、まともに踊れているかどうかで地元民(もしくは超常連)が一目で分かります。

郡上踊り

余談ですが、下駄を酷使する振り付けが多い(特に「春駒」は人を乗せなれていない若い馬が暴れるのを手綱を切り返しながら乗り馴らすという振り付けなので下駄が割れる事も。。。)ので、徹夜踊りの期間中は下駄屋も徹夜で営業しています。

というお話。

 

まず、ここでいう「郡上踊り」についてですが、岐阜県郡上市八幡町(通称:郡上八幡)で開催される日本三大盆踊りにも数えられる盆踊りの事。そしてその盆踊りで踊る踊りを指します。

この盆踊りの囃子(曲)は全10曲あり、総称して「郡上節」と呼ばれ日本三大民謡にも数えられています。(読者投稿にあった「春駒」もこの郡上節の1曲です。)
そしてこの10曲全てに踊りがついており、盆踊り期間中にはその10曲全てが生演奏され、参加者は明け方まで一晩中踊り続けるそうです。

しかも、この盆踊り。地元城主が“士農工商”の融和を奨励したことに由来するとされており、地元民だけでなく、見物で訪れたビジターも参加奨励の「見る盆踊り」でなく、「踊る盆踊り」だそう。そのため、参加者は毎回数千人にものぼるそうです。

 

さて、本題に戻りますが、今回読者から投稿があったこの『岐阜県の郡上八幡民は100%「郡上踊り」10曲を踊れる』という情報。
真偽を確かめるため、「郡上踊り」の運営に携わっている地元の郡上八幡観光協会の方にお話を伺ってみました。

担当者の方のお話によると「100%と言い切れるかといえば微妙ですが、でも“ほぼ”踊れます」という解答。
理由についてお伺いしたところ「最近ではまず学校の授業の中で“郡上踊り”を教える場があります。過去に遡れば、何もない時代、娯楽といえばこの盆踊りが最大のイベントだったため、地元民ならばそうした楽しみを共有するため、自然と伝統になり誰でも踊れるものになっているのではないか?」というお話。
つまり郡上八幡民ならば幼少の頃から「郡上踊り」の英才教育が施されているわけです。

ちなみに「下駄屋も盆踊り期間中は明け方まで営業しているんですか?」という情報については、「営業しています」とサラっと解答していただきました。

凄いですね。実際の「郡上踊り」を見たことはありませんが、10曲全てを演奏者が奏でるテンポ(気分によって速くなったり遅くなったりするそうです)に合わせてこの郡上八幡民は自在に踊ることができるわけです。

最後になりますが、この「郡上踊り」。“ビジターも参加奨励”と書きましたが、参加は自由。離脱も自由だそうです。見物に行ったからといって、強制参加しなければならないという訳ではないのでご安心を。

【取材協力】
郡上八幡観光協会

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※写真はイメージです。