先日から話題となっている、さかもと未明さんが飛行機の機内で泣く赤ちゃんに耐え切れず、そのお母さんと航空会社に対してクレームを入れた事件。

ネットでは賛否両論あるわけですが、この文章を書いている私。上3才、下1才の子供を持つお母さんです。
しかも、子連れでこれまで10数回飛行機を利用したことがあり、同じく機内で子供に大泣きされた経験もあります。


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ちなみに利用する航空会社は、基本的に最近流行りのLCC(格安航空会社)がほとんどです。

人間生きていれば子連れで大変だと分かっていても、どうしても飛行機を利用しなければならないこともあるわけで。

これまで経験した10数回の空の旅と、ネット上から拾い集めた他のお母さんの空の旅の知恵と工夫。

本稿ではそれらまとめて紹介してみたいと思います。
これから空の旅を予定している方、子連れじゃ周囲に迷惑をかけるのではないか?と空の旅を躊躇っているお母さんの少しでもお役に立てたら……。

 

――搭乗前のテクニック

▼席の確保には工夫を!

道中の命運を左右する最重要事項は希望座席の確保です。良い席が確保できなければ道中とにかく地獄だと思ってください。
私の経験からいうと「便をずらしてでも希望席を確保すればよかった」と後悔したほどです。

最近の航空会社では、予約をする際、一緒に座席の指定が行える場合がほとんどです。予約の際にとれるなら、さっさととってしまいましょう。「当日空港で」なんて考えは甘すぎます。特にLCCなどの場合には、当日指定は余程のオフシーズンでない限り希望座席は確保できないと考えましょう。

どういった席が子連れには都合がいいのかは、ネット上から拾い集めた意見も紹介した<お母さんのテクニック>をご参考ください。

<お母さんのテクニック>
・座席は窓際を予約。外を見せることができるようにするため。
・座席は通路側を予約。おしめ替えなどの出入りで楽だから。
・当日カウンターで隣りの席が空席の席に変更してもらう。空席が多い便ではできる場合があるため。
※筆者の経験では日本航空や全日空などの大手航空会社ではこうした手配をおこなってくれます。LCCの場合には、満席の場合がほとんどですのでまず難しいと考えてください。

<筆者の失敗例>
以前、ソラシドエアというLCCに搭乗したことがあります。搭乗した飛行機は、座席通路が中央1つしかない割と小さめの機体。
ネット予約の際、大人2人、幼児2人で席を隣り合わせで指定しようとしましたができませんでした。

後から分かったことですが、どうやら大人+幼児のペアの場合、飛行機のバランスの関係か通路を挟まず隣り合わせでの指定はできないよう。

ネットではただ「指定できません」的な文言がでるばかりで、その時は指定できない意味がわかりませんでした。そこで当日窓口で指定しようと思ったのですが、それが失敗の元。当日窓口で聞いたところによると既に希望席は指定完了。通路をはさんで左右の席も確保できず、泣く泣く3席並びの中央席(一番最悪な席)で道中過ごしました。

3席並びの中央は、何をするでも左右の方に気を使います。
予約の際、「たとえ隣り合わせでなくても、とりあえずあるうちに通路側か窓側を別々でもとっておけばよかった!」そう思った出来事でした。

▼空港には早めに到着する

空港には搭乗ギリギリに到着するのではなく、あらかじめ搭乗までに時間に余裕をもって到着するようにしています。
理由は空港という場に慣れさせる事と、広い空港あちこち移動して子供を遊ばせつつ体力を搭乗前にできるだけ消耗させ、機内では昼寝する方向に持っていくためです。

空港には、展望台、ショッピングコーナー、レストラン街、プレイルーム(子供の遊び場)など見どころ、遊び場満載です。

少し歩いたり見学するだけで、子供は「普段のおでかけなのかな?」という感じで意外とすんなりリラックスしてくれます。
まだ歩けない子でも見るだけでそれなりに体力を消耗してくれますし、お母さんがゆったりと楽しむ姿を見せることで言葉の通じない赤ちゃんには安心感を与えます。歩ける子供ならできるだけ歩かせるのもポイントです。

<お母さんのテクニック>
・飛行機に乗る時間をお昼寝タイムにあわせる。
・搭乗前にレストランなどでお腹一杯にごはんを食べさせつつ子供のテンションを高める。
・家族で普段どおりショッピングしたり見学を楽しむことで子供に安心感を伝える。
・沢山飛行機を見せて、飛行機に対する子供の興味を高める。

 

――搭乗中のテクニック

▼リラックスグッズを持ち込む

狭い閉鎖された空間でもある飛行機の機内。しかもエコノミーなら軽く足が伸ばせる程度の狭い場所。
そんな中、少しでも子供たちをリラックスさせるには日常から使っているグッズが役にたちます。
以下は私が飛行機に搭乗する際に持ち込んでいるリラックスグッズです。
個人差はあるかもしれませんが参考にしてください。

<機内に持ち込む子供的リラックスグッズ例>
・子供が普段から使っているミニ枕
・子供が普段から使っているミニ毛布orお気に入りのバスタオル
・普段から使っている哺乳瓶
・小さいおもちゃ

これまでの経験からいうと、多少ボロでも普段から使い慣れ、子供の匂いが充分についているものが安心感を誘うようです。
上記のような、ミニ枕やミニ毛布を普段から使っていない方は、余裕があれば搭乗が決まったあたりからそうしたグッズを購入して、充分に子供に慣れさせておくなど工夫をしてみてください。

▼子供が泣いちゃったら

どれだけ事前準備を万端にしていても、子供は泣くときは泣きます。
そうした場合の理由は大体2つあります。

<子供が泣く理由>
・不安感/緊張感
・気圧の変化

不安感/緊張感については、前述したリラックスグッズを持ち込むことで、ある程度回避できます。
ここでは「気圧の変化」についての対応をご紹介。

飛行機にのって上昇・下降する際、鼓膜がパンと張る感じを経験した方も多いのでは?勿論子供でもそれは同じです。
大人の場合には、鼻をつまむなどで対応できますが、子供は小さければ小さい程鼻をかむことすらままなりません。
そうした際には以下の事を試してみてください。

<子供の耳抜きの方法>
・キャンディーを舐めさせる:
飴を舐める際の舌の動きや、飲み込む仕草で小さい子供でも自然に耳抜きができる方法です。ただ、普通の飴玉では何かあった際に喉に詰まらせてしまうことがあります。ので、私は袋にペコちゃんの絵柄が入った棒つきのペロペロキャンディー「不二家ポップキャンディ」を持ち込むようにしています。

棒を持たせることである程度それに集中してくれますし、口に入れて吸い付いたり抜いたりするので、吸引力も自然とでてくるため、普通のキャンディーより耳抜きが簡単にできているように経験上思います。私的にはかなりの重宝アイテムです。

ちなみに、もし万が一飴を持ち込み忘れても、日本国内で運行している航空会社のほとんどは、機内に飴玉を常備しています。キャビンアテンダントさんにお願いすればもってきてくれますので忘れた際にはお願いしてみてください。

・哺乳瓶で飲み物を飲ませる:
哺乳瓶は飲む時に子供の吸い付き力が必要になります。キャンディーと同じく、その吸引力や飲み込む仕草で耳抜きをさせる方法です。
中身はミルクでもオレンジジュースでも何でもかまいません。子供が好きなものを入れてあげてください。
手荷物検査場で飲み物のチェックを面倒がって飲み物を持ち込まないお母さんもいるようですが、飲み物は手荷物検査場を通過した中の売店でも購入できます。
LCCには機内に持ち込んだ食べ物・飲み物の飲食を禁じている航空会社があります。
そうした規定を設けているAirAsiaに過去搭乗したことがありますが、子供は例外のようで特に注意はうけませんでした。
むしろ、AirAsiaのキャビンアテンダントの方は、機内でミルクを作ろうとしていたところ「こちらでお作りしましょうか?」と申し出ていただきミルクを作って持ってきてくれました。

<筆者の失敗例>
上の子がまだ1才の頃、大人+幼児でスカイマークエアラインズを利用した事があります。その時、既に乳ばなれしていた上の子のためにストロー付きのマグマグにジュースを入れて機内に持ち込みました。

機体も離陸し、もうちょっとで安定か?というタイミングで子供がぐずりだし、ストロー付きマグマグでジュースを飲ませようとしたところ……。
華麗に飛びました。天井に向け70cmほど。ええ、中に入っていた液体がです。

今更ながら無知でお恥ずかしい出来事だと後悔するばかりなのですが、容器に入った液体は、高い場所を飛ぶ飛行機の中では気圧の変化により開封した場合、飛び出してくることがあります。ペットボトルなどの場合にはあまりありませんが、ストロー付きの容器の場合にはほぼ飛ぶといってもいいかもしれません。

それを全く知らずに飛行機内でやってしまったお母さん1年生のその時……、よりによっての3席真ん中席で、左右のスーツ姿のサラリーマンの方には大迷惑をおかけしてしまいました。勿論、そのあとは平謝り。幸いにして「大丈夫ですよ」と言っていただけましたが今でも思い返す度反省する出来事です。

▼どうしても子供が泣き止まなかったら

「泣く子と地頭には勝てぬ」という言葉もあるように、どんなに事前準備をしていても、どんなにお母さんが頑張っても泣き止まない子は泣き止みません。

そんな時どうしたらいいのか?

もうひたすらあやすしかないわけですが、狭い機内。更に狭い座席……。
お母さんが動くこともままなりません。しかもジタバタする子供で隣の人をけったりして更に気をつかったり……。泣きっ面に蜂もいいところです。

そういう場合には、キャビンアテンダントさんに相談をすると隣が空いた座席に席移動をさせてくれたり、キャビンの空いたスペースを赤ちゃんをあやすために提供してくれます。

どんなに泣く子でも、立ち抱っこをしながらキャビンの窓から流れる雲を見せていればまず泣き止みます。

それでもどうしても泣き止まないよ……。という時には、お腹がすいているのか、おむつを替えてほしいのかが疑われます。
お腹がすいている場合には、持ち込んだお菓子などでお腹を満たしてあげてください。

おむつの場合ですが、これは意外と知らないかたも多いようですが、飛行機内のトイレには赤ちゃんがおむつ替えをする台が実はちゃんと用意されています。

赤ちゃんが泣く理由が「おむつ」だと分かっていても、「交換する場所がわからない」「人前で交換するのは周囲の方にちょっと」などの理由で搭乗中、おむつ替えをためらうお母さんは少なくないと聞いたことがあります。
実はあるんですよ、ちゃんと「おむつ替え台」が!!使い方はデパートやスーパーなどで見かけるおむつ替え台の簡易版といったところ。でも、きちんと赤ちゃん固定ベルトもついてますので、おむつ替えの時には安心してトイレに向かってください。

<筆者の失敗例>
私は普段実は化粧をしません。お子さんがいる家庭では、家の中でお化粧をしないお母さんが多いかと思います。
実はこれが子供にとって変な緊張感を与えているということに最近気がつきました。
「お母さんがお化粧している=どこかにでかける?(知らない場所に行く?)」という感じで何かを察するようで過去大泣きされたことがあります。(いや、私の化粧が怖いって訳じゃないですよ!)
また、お出かけだからと普段あまり着なれていない洋服をお母さんが着用しているのもいけないようです。
泣くときに抱っこをされるのは子供。お母さんに抱きついた時にいつもと感じが違う洋服で、しかもオシャレな服だとより抱かれ心地が悪く落ち着かないようです。
だからといってお母さんも女です!すっぴんでボロボロの普段着という訳にはいきませんが……。必要最低限のメイクで、その日着るお出かけ服は簡易なおしゃれ着で普段から何度か着用しておく。(子供になれさせておく)そういう工夫もまた、子供を落ち着かせる手段の一つのようです。
子供にだきつかれると、どうせ化粧も崩れ、洋服にはよだれに気が付けば米粒に……。となっていまいますしね。

 

――最後に……

「子供だからしかたないと許してくれるよね?」って考るお母さんも世間には少なからずいるようです。
狭い機内、子供と同乗というだけで周囲には多少なりと迷惑をかけています。

たった二言でかまいません。乗るときに相席する方には

「ご迷惑をおかけします。」

降りる時には

「ご迷惑をおかけしました。」

たったこれだけでかまいません。ただそれだけで周囲の方の気持ちも心構えも変わります。

「子供だからしかたない」

それはそうかもしれません。でもね、本当にちょっとしたことで人の気持ちは変わる。そういう事だってあるわけです。

本当にちょっとしたこと。ただそれだけで、子連れの旅は随分と楽になる。

どうかそうした“心配り”も是非旅のお供に忘れずに持って行っていただけたらと思います。

(文:栗田まり子)