個人的な話ですが、九州出身の私(筆者)は、東京に出て来て15年目になります。今でこそ都会生活にも慣れ、困ることは滅多にありませんが、それでも東京に出て来たての頃は、田舎出身者ならではの戸惑いにいくつも遭遇しました。

 同じく、田舎を持つ者同士が集まったときは、そうした「都会に来て戸惑ったこと」で話に花を咲かせることもしばしば。本稿では、そんな田舎出身者ならではの「都会に来て戸惑ったこと」をまとめてご紹介いたします。

―― エスカレーターは左側に立つ (佐賀県出身)

 田舎だとエスカレーターではどこに立ってもよかったのに、東京では左側に立ち、右側は急ぐ人の為に開けておくという暗黙ルールに最初驚かされました。

 これは関西あたりになると、立つ位置は右側で、左側が急ぐ人用と逆になります。ちなみにエレベーター業者に言わせると、片側に負荷がかかり続けるのは構造上好ましくないそうです。

―― 首都高速がビルとビルの隙間を走っていること (福岡県出身)

 東京と大阪両方いえることですが、首都高速道路と隣接の建物の距離が近くて、初めて首都高速を走ったとき本当にビビりました。(建物が近くに感じすぎて)

 しかも、地上からいきなり地下トンネルに入ったり、中がグネグネしていたり……。あと、本線と合流の距離の短さや見渡しの悪さやもビックリです。

―― 駅の構内がまるでRPGゲームのダンジョン (田舎出身者共通)

 東京で主要とされる駅には、JR以外にも様々な私鉄、地下鉄などが乗り入れています。そのため、どうしても駅の構造は複雑になっており、乗り換えの大変さもさることながら、慣れるまではまるでRPGゲームのダンジョンの様に感じてしまいます。最下層にはボスキャラがいてもおかしくない駅もありますよね。

 しかも、そのダンジョンにも慣れ、目的出口にすいすい到達するころになると、いつのまにか通り道が工事で塞がれていたりして……。東京の主要駅内のマップ変更の頻度の速さも異常だと思いました。

―― 運転免許を持っている人が少ない (滋賀県出身)

 田舎では高校を卒業、もしくは18歳になるとこぞって運転免許を取得したものです。特に男性に関しては、運転免許は大人の男の必需品的な意味も暗黙であり、田舎では免許を持っていない人(特に男性)は珍しい程。会社の同僚などと話していて、運転免許を持っていない人が意外と多い事を知りかなり驚きました。都会の人はデートでドライブなんてしないんですかね?

―― バスの乗り方が分からない (鹿児島県出身)

 東京のバスは先払いが多く、後払いの地元のシステムとは異なりバスに乗りたくても乗り方や先払いする金額が良く分からず乗れなかった。

―― 冬に道路で寝ている酔っぱらいがいても誰も助けない事 (北海道出身)

 冬に道端やビルの影で酔っ払って寝入っている人を見ても、誰も警察に通報したりしないことに驚きました。田舎では普通に凍死するので……。

――電車が数分に1回は出てる事 (鹿児島県出身)

 住んでいたところの電車は1時間に1本が当たり前だったので、乗り遅れるとそれはもう大変でした。それが乗り遅れても次から次に電車が来るので特に時刻表を気にすることがなくなりました。
あと田舎では「電車」ではなく、未だ「汽車」と呼んでいました。気が付けばこれは恥ずかしいなと。

―― 窓を開けると隣の建物がさわれる (福島県出身)

 とにかくビルでも住宅でもマンションでも、建っているものの隣どおしの距離が近すぎることにびっくりしました。手を伸ばすと隣の建物がさわれるんですよ本当に。

―― あちこちにコンビニがある (鳥取県出身)

 地元では、町に1軒もコンビニがないところが多々あります。自宅からコンビニまで車で2キロなんかザラでした。それが都会では、ちょっと歩けば数メートル間隔でコンビニがあるのに驚きました。

―― 学生服を着た若者が平日の昼間ウロウロしていること (熊本県出身)

 平日の昼間に学生服を着た恐らく中学生か高校生が街中をウロウロしていている事に驚きました。誰も注意しないのかなと。地元だとすぐ親の知り合いや近所の人に見つかるので……。

―― 時間と距離の感覚が違った (宮崎県出身)

 田舎での1時間の車運転は「長いなぁ~」と思ってしまいます。しかし都会での1時間は「通勤時間」として扱われるほどの時間間隔であることにびっくりしました。沿線によって家賃の落差があるという都会の象徴でもあり、当然のことでもありますが、田舎出身者には最初の関門ですよね。最初の住居探しにはとても戸惑ったかと思います。

―― 自転車で見回るお回りさんをよく見かける (宮城県出身)

 自転車で見回っているお回りさんはテレビぐらいでしかみかけた印象がなく、東京で頻繁に見かけるようになり、「おー」っとなりました。しかも、場所によっては数十メートル間隔で見回りをするお巡りさんがいるので、「こういうのは田舎ではないなぁ」と感じました。だって、田舎のお巡りさんは駐在所に一人しかいないから。しかも住んでるし。

―― 海水浴場のギャルの水着の露出の多さ (宮崎県出身)

 関東某所の海水浴場に初めて行った時、若い女の子の水着が、田舎の若い女の子の水着に比べ、露出面が多かったことに感動、もとい驚かされました。田舎ではあんな水着着ていたら、恐らく家族に凄い怒られるはずですからね。しかも近所の噂にもなりかねません。

 「都会に来て戸惑ったこと」。今回ご紹介したのは、調べた中でもごく一部です。他にも「ゴミ出しで毎回顔を合わせる人に挨拶してたら不審者と間違われた」なんて悲しい話も……。

 本稿をお読みで、「自分もこんなことがあったよ!」という田舎出身の方は、是非本稿に補足を加える意味で、コメントやTwitterなどで体験談をお寄せいただければと思います。

(文:宮崎美和子)