3月3日に公開初日を控える、秋月こおのBL小説「富士見二丁目交響楽団」を原作とした、同名実写映画の完成披露イベントが2月に大阪と東京で開催された。

記者が参加した東京の回では、広報担当の方の話によると満員御礼。他の回でもほぼ満席との事。実際会場に入って最前列から後ろを振り返ってみたところ、どこをみても人人人人……。


しかもBL作品の試写会とあってか女性ばかり。男性の姿のあまりのなさに、少し気になって探してみたところ約1名やっと発見できた。

他の会場でもイベントに参加した方にたまたまお話を伺うことができた。その方の話では、他の回や会場では男性同士での参加者や彼女らしき人の同伴の方も結構いたそうで、たまたま記者が参加した回が極端に男性率が少なかった様である。

さて、実際の映画の感想だが、今作では映画の表現方法として、主人公二人の視点からそれぞれの物語が描かれている。
高崎翔太さん演じる守村悠季の視点では、キャラクターの優柔不断さや混乱、そして男性から愛されるという事に対する葛藤を、軽快なテンポでコミカルに表現。このテンポの良さは、過去ドラマで放送された「のだめカンタービレ」にも通じ、見ている側としては飽きの来ない気持ちよさを味あわせてくれた。また、要所要所ではヘタレキャラの悠季が、周囲の誤解をうけつつ妙に笑わせてくれるコメディ要素も多数含んでおり、BL作品ながら一般のドラマとしても楽しめた。
対して、新井裕介さん演じる桐ノ院圭の視点では、守村悠季との出会いからの流れを桐ノ院の心理ナレーションとともに表現。悠季編では口数が少なく桐ノ院の態度には謎だらけのシーンが多かったが、この場面では多彩な画面表現とともにそのあたりの謎を、桐ノ院の心の声が丁寧に解き明かしてくれる。

そして、特筆すべきは、細かい心理描写や展開に関連して、BL作品ならではの『もやもや感』や、胸が『キューン』となるあの独特で繊細な感じを見事に再現していた点。

偏見かもしれないが、大阪人の男性監督がメガホンを取ったという風に聞いていたので、BLならではの乙女心をくすぐる『キュンキュン感』が「ちゃんと分かっているのか?」と気になっていたのだが、映画としてのドラマ性もきちんと描きつつ、BLとしての作品特性もちゃんと押さえており、監督のその器用さには感心しきり。視聴最後には、BL作品ではありがちな、いい意味での『消化不良』さえ余韻として残してくれた。

あと、今回作品で話題ともなっている『過激なベットシーン』について。
BL実写映画については、「あまりリアルなベットシーンはいらない派」でもある記者が今回視聴してみた独断での感想となるが、これは「見たくないけど見てしまった」という感じ。
「そこまで見せないで!」と思いつつ、顔にあてた手の指の隙間からついつい見てしまった。おそらくこのシーンについては、監督なりのBL映画に対しての冒険や挑戦も含まれているのではないか?と思う。

■出演者参加してのトークショー
さて、上映会の後は、出演者の高崎翔太さん、新井裕介さんと金田敬監督によるトークショーが開催された。

司会者に紹介されると、高崎さん、新井さん、そして金田監督の順に登壇。
それぞれ挨拶の後、立ったままの状態でトークがスタートした。

トークショーでは、司会者に質問され高崎さんが話題のベッドシーンについて「犯されるシーンは……」と言いかけ、すかさず新井さんが「ちょっと!犯すはだめでしょ!」と鋭く指摘。
場内の爆笑をさらった。

●言いかけたベッドシーンについて
高崎さん「色々ときついものではあり、撮影初日にいきなりこのシーンだったのは後々良かった」
新井さん「される方ではなく、する方が良かったです」
とそれぞれ笑顔の中語った。

また、監督は「あのシーンは、ロケハンに行った際に部屋の大きな窓ガラスをみて、「これにベッドシーンを写したらきっといい感じになるのかな?」と思っていたら、実際撮ってみると思ったよりリアルになりすぎてしまった」と少し反省点もポロリ。

またトークショーの司会者兼、映画のプロデューサーの方が
「濡れ場では、あまりリアルになるのもどうかと思ったけど、ファンの方にも喜ばれるのではないかとも思い、思いきって今回シーンを作ってみることにしました。」と語った。

そして次は撮影中の話題に。

●司会者からの質問で、苦労した点について
高崎さん/新井さん「音楽ですね」と二人そろっての意見。

高崎さん「バイオリンのシーンがあるのですが、撮影前にあまり練習する時間がとれず、バイオリンのシーンの最初の撮影で、監督に苦笑されたのを覚えています。」

新井さん「僕はタクト指導をうけました。指導者の方に、最初は自由に振ってみて。と言われてやってみたのですが、結果全くだめで。ただ、今回の撮影では実際の楽団の方がいらしてその前で指揮をさせていただいたのですが、撮影の最後には拍手していただいて感動しました。あと、僕本当は左利きなんですよ……。」

●今回共演した他の出演者について
監督「今回は主演二人は勿論ですが、脇役も結構素晴らしい役者さんに出演いただきました。ただね、皆さん芸が細かすぎるんですよ。
撮影の最初から「監督、僕たちもう年なので楽器の演奏は捨てます。ただ、顔で音を演じます!」と言われまして(笑)。その演技がまた、細かい事。
主演二人の後ろで、ちらちら細かい演技するし、元々妙に存在感ある人ばっかやし、それを抑えるのが大変でした。」

新井さん「僕は指揮台に登っていたので、全員のそれを見ていてもう笑いを堪えるのが大変でした。」

●国広さん演じる事務局長に桐ノ院が水を掛けられるシーンが……
監督「今回、国広富之さんにも出演いただいているんですが、映像的には1シーンなんですね。桐ノ院との喫茶店でのシーンなんですが、撮影直前に国広さんが「監督、このシーンは事務局長と桐ノ院が過去に何かあったか匂わせる雰囲気にしてもいいですか?」って言うので、急遽、桐ノ院に水をかけるシーンが決まったんですよ。」

新井さん「僕は直前にいきなり聞かされて、撮影一発で綺麗に水をかけられて。国広さんにはそのあと、「綺麗にかかったね」って満面の笑顔で言われました。」

監督「もうね、皆さん出演する作品作品に、わずかでも爪痕を残そうという根性が素晴らしいのですよ。」

最後には、他の出演者についての話題で始終盛り上がり、大阪弁で軽快に喋る監督リードの元、高崎さん、新井さん含め、会場全体が爆笑のままイベントは終了した。

なお、本作の公開は本文冒頭でもご紹介したが3月3日から渋谷シアター・イメージフォーラム他全国で上映される。前売り券は既に販売開始されており、劇場前売り券・アニメイト販売前売り券それぞれで異なる絵柄のポストカードが特典でついてくる。

■映画「富士見二丁目交響楽団」STORY
守村悠季(高崎翔太)は富士見二丁目交響楽団(通称フジミ)のコンサートマスター。楽団はまだ素人レベルだけれど、彼はそのリーダー的存在としての自負を持っている。そこにある日、芸大出で留学帰りの二枚目指揮者・桐ノ院圭(新井裕介)が就任してくる。初対面の時から人を見下ろすようなデカい態度の圭に敵意を覚える悠季。ところが彼のタクトによって、楽団員たちが見る見るうちにレベルアップして……

▼出演:
高崎翔太、新井裕介
岩田さゆり、林 明寛、馬場良馬、NAOTO(ゲスト出演)、木下ほうか、宮川一朗太、徳井 優、国広富之
▼原作:
秋月こお(角川ルビー文庫・刊)
▼監督:
金田敬
▼制作・配給:
ビデオプランニング
▼「富士見二丁目交響楽団」公式ホームページ
http://fujimi-2.com

(c)2012秋月こお/角川書店・富士見二丁目交響楽団シリーズ製作委員会