金曜日は猫目ユウの「ナナメ観!特撮映像館」「特撮映像館」、90回目の今回は劇場公開された『仮面ライダーZO』をご紹介いたします。原点に帰ったシンプルな戦闘能力を持ったZOは、ある意味ライダーの完成形だったかもしれません。

本作は、仮面ライダー20周年記念として企画・制作され、ライダーや怪人のデザインも監督の雨宮慶太が行っている。


もともと1号ライダーを登場させる企画も雨宮は提案していたようだが、結果的にV3的なデザインのZOが制作された。

劇場公開されたとはいえ48分というものであるためか、「ショッカー」や「デストロン」といったライダーシリーズには付きものの悪の組織は登場しない。代わってZOを生み出した望月博士が作ったネオ生命体との対決という構図で、いわば兄弟同士の戦いを描いている。

雨宮慶太自身ライダーの大ファンということもあって、当初の1号ライダー復活作品の企画にもつながっていたわけだが、本作のZOも1号ライダーのようにシンプルな戦闘能力である。パンチ、キック、そしてマシン(バイク)によるアタックが主なものだ。またライダーといえば変身シーンという印象が個人的には強いのだが、そのあたりはリアリティーを重視したのか、クライマックスで「変身」というセリフが一回登場するだけで、あとは状況や意志によって瞬時に変身している。

特撮やアクションシーンではさまざまなアイデアを投入していて、マッド画によるもの、ギニョールのコマ撮り、ワイヤーアクション、そして東映作品お得意の大量の火薬といったところが見どころだ。

シンプルでありながらスピード感のあるストーリー展開で飽きることなくラストまで観ることのできる本作は、ライダーシリーズとしては異色ではあるが1話完結作品として完成されていたのではないかと思う。

監督/雨宮慶太
キャスト/土門 廣、芝田翔平、佐々木功、犬塚 弘、森永奈緒美、大葉健二、ほか。
1993年/48分/日本

(文:猫目ユウ / https://suzukaze-ya.jimdo.com/