毎週水曜連載の『うちの本棚』、第十三回目も水木しげる作品をご紹介いたします。ちなみに今回で水木しげる貸本時代の名作三作の紹介が終わることになりますが、SF的要素は取り入れられているとはいうものの、タイトルから受ける印象と違って、本作は怪奇時代劇作品です。

さて、本文ですがこの「火星年代記」。
タイトルから受ける印象は現代、または未来を舞台にしたSFだろうが、なんとこれが時代劇なのだから驚かされる。

もちろんタイトル通りの時代SFドラマと言って言えないわけではないが、基本的には怪奇時代劇にはかわりはない。

怪しげな宗教に取り込まれた息子を救い出そうとする父と、その剣術の弟子であり、息子の親友でもある主人公の物語である。

モゲータと名乗る怪しい人物は、霊波を操り死人を蘇らせて手足のごとく使っている。古い書物によればその霊波を防ぐにはしめなわとさかきが有効だと知り、主人公たちは頭にしめなわとさかきを付けて対抗するのだが…。

迷信やまじないの中にも真実が含まれているという、水木の他の作品でも見られる思想がここでも語られている。また、『妖棋死人帳』の巻末で読者の手紙に答えた水木の言葉に、本作の構想が大きかったため、ページ数の都合で割愛した部分が多々あったというようなことがみられる。たしかにSF的要素を説明するにはあっさりしすぎていた感はある。このあたりのアイデアをもっと膨らませた作品が、その後、石森章太郎などが描いた作品に見受けられたりしている。

書 名/火星年代記
著者名/水木しげる
出版元/小学館クリエイティブ
判 型/A5版
定 価/1900円+税
シリーズ名/復刻漫画名作シリーズ(ただし本書にこの記載はない)
初版発行日/2008年11月1日
収録作品/火星年代記