おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

右と左の判別にあたふたしてしまう「左右盲」実は結構多いんです

 病気や障害ではないけど、右と左の判別が瞬時にできない「左右盲」という症状、皆さんご存知でしょうか?その「左右盲」について紹介した漫画がツイッターに投稿され、大きな反響を呼んでいます。

  •  「この前、左右盲について呟いたら意外と知らなかった人がいたので。右と左の判断に時間かかる人です」と漫画を投稿したのは、厚生労働省が監修した依存症啓発漫画「だらしない夫じゃなくて依存症でした」を描いた三森みささん。三森さん自身の体験をもとに、左右盲についてのエピソードを漫画で紹介しています。

     三森さんは元々右利きで利き手の矯正もなかったのですが、幼児時代の体験がきっかけになったらしく、右と左が瞬間的に判断できなくなり、混乱してしまうようになったそう。その後も、日常生活に大きな支障をきたしてはいないものの、左端のものを見るようにと指示されたのに逆のものをみてしまい、混乱が生じるなどということがしっよっちゅうあったそうです。

     そんな三森さんの右手にはほくろがあり、それを目印に左右を判断していたのだそうですが、いつの間にか左手にもほくろが出来てしまい、さらに混乱してしまう原因となってしまいました。このように左右の判別がすぐにつかない「左右盲」の人にとって効果的な方向の示し方は、「クロックポジション」という方法。対象者の正面を12時の方向として、そこからアナログ時計の短針の時間で方向を表すという手段。ちなみに、この方法は視覚障害がある人にも有効な方法です。

     この漫画が投稿されると、見た人たちからは「自分も思い当たる」という人が続出。大きな共感を生んでいます。また、カーナビや地図アプリを使っている時に、「右方向です」と言われて違う方向に行ってしまいがち……という人も。左利きを矯正された人が多いようですが、矯正されていなくてもこの状態に陥る人も多くいます。自動車の運転で緊張している時に、「あと○○m先を左に進みます」と言われても、車線変更が上手くできずに慌ててしまう、ということも。

     この「左右盲」は、左利きを矯正された右利きの人がよく陥りやすいと言われていますが、空間認知能力の弱い人にもこの傾向がある様です。これらの症状は医学的には病気や障害とみなされていないため、医学的な研究文献もないのが現状。脳機能障害の中のひとつの症状としての左右失認はいくつもの研究文献がありますが、左右盲自体を解明する文献はないようです。

     実は筆者の娘たちは二人とも生粋の右利き。しかし長女は空間認知力が高いのですが、次女は低く、3Dの立体的なゲームは苦手。長女はマインクラフトのような3D空間の認知を要するゲームや立体物の制作が得意ですが、次女は平面的な2Dの方が分かりやすいといいます。そして長女は左右盲の状態は見られず、初めて行くところもあまり迷わないといいますが、次女はどうやら左右盲である様子。地図アプリでも自分の位置と方向を上手く把握できないことが多いといいます。

     そして編集部内にも、同じ状態の記者がいることがこのツイートにより判明。曰く、「どうもなんとなくなんですけど、頭の中で直感を変換してるような感覚がしますね。普段は何か基準になるとっかかりがあるんですけど、とっさに言われると本来の利き手の直感が出るというか」と。道案内でとっさに「右折」「左折」が逆になったりすることもあるそうです。確かに、とっさに左右を言い間違えるのってあるあるな気がします。

     このような障害とは言えないけどちょっと困ることがある特性は、意外とあったりするものです。こうしたエピソードなどをきっかけに、自身の特性を把握し、生活しやすくなるように工夫していくのも生きやすくするための一つの方法かもしれませんね。

     ちなみに、三森さんが描いている厚生労働省が監修した依存症啓発漫画「だらしない夫じゃなくて依存症でした」は、三森さんのサイト「MimoriMisa ART Graphics」などから読むことができます。こちらは厚労省監修という事で、依存症についてわかりやすく描かれていますので、こちらもぜひご一読を。

    <記事化協力>
    三森みささん(@mimorimisa)

    (梓川みいな/正看護師)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘルスケアの調査で明らかに
    社会, 経済

    セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘ…

  • HPVワクチンのキャッチアップ接種、期間が延長されているの知ってた?
    社会, 経済

    HPVワクチンのキャッチアップ接種、期間が延長されているの知ってた?

  • 井上咲楽さん公式Xより
    エンタメ, 芸能人

    女優・井上咲楽、気づくと右目が緑色に!心配の声が上がるも「大丈夫なやつです」

  • Geroさん公式X(@Gero2525)より引用
    エンタメ, 芸能人

    Geroさん、尿路結石再発も「ビッグサンダーマウンテン療法」に異論

  • (写真左から)江崎グリコ株式会社 健康イノベーション事業本部 商品開発部の池田紀子さん、日本料理店「和敬」店主の竹村竜二さん、江崎グリコ株式会社 執行役員の木村幸生さん
    企業・サービス, 経済

    江崎グリコ、「おいしく減塩」に挑戦 減塩食品の革命を宣言

  • 「カロリAI」で食事の写真を読み込ませた画面。AIが分析して材料や量、カロリーを推定する
    インターネット, サービス・テクノロジー

    カロリー管理続かない人が作った「カロリAI」が話題に 管理をスマート化して“自分…

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン「人生100年時代のヘルスリテラシー白書」公開!デジタルツールの活用が都市圏で拡大
    企業・サービス, 経済

    「人生100年時代のヘルスリテラシー白書」公開 デジタルツールの活用が都市圏で拡…

  • ICIによるがん免疫療法のいまとこれから
    企業・サービス, 経済

    がん治療“第4の柱”「免疫チェックポイント阻害薬」製薬会社がセミナー開催

  • 思春期男子の睾丸の痛みは我慢せずすぐに受診を 泌尿器科医が注意喚起
    インターネット, 雑学・コラム

    思春期男子の睾丸の痛みは我慢せずすぐに受診を 泌尿器科医が注意喚起

  • 東京・有楽町駅前広場にオープンする「塩対応食堂」(期間:2024年5月9日~11日)
    イベント・キャンペーン, 経済

    「塩対応食堂」有楽町に期間限定オープン “塩対応料理”を無償提供

  • 梓川みいな看護師(正看護師有資格者)

    記事一覧

    一般内科、呼吸器科、整形外科、老年科、発達障害などを得意とする。医療・介護福祉等に高反応。雑多なネタも紹介していきます。
    娘二人(ともに発達障害あり)とネコ二匹の母。シングル。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと
    社会, 雑学

    災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

  • お餅での事故を防ぐ ここがポイント!(出典:政府広報オンライン)
    社会, 雑学

    お餅での事故を防ぐ 3つのサインと3つのポイント!

  • 巨大イベントへ遠征に行ったらインフルエンザを拾ってきた話(画像:イラストACより)
    ライフ, 雑学

    巨大イベントへ遠征に行ったらインフルエンザを拾ってきた話

  • 【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?
    ライフ, 雑学

    【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?

  • みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?
    ライフ, 雑学

    みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?

  • 【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし
    ライフ, 雑学

    【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし

  • トピックス

    1. じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活

      じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活

      今の30代~40代が幼い頃に夢中になった「にこにこ、ぷん」が、令和の時代に新たな姿でよみがえります。…
    2. 定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      夏になると、どうしてもあっさりしたものばかり選びがち。そんな中、「のり弁を冷やして食べる」──気にな…
    3. カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      東京・汐留の商業施設「カレッタ汐留」にある異色の立ち食いそば屋「そば さやか」がSNSで話題です。極…

    編集部おすすめ

    1. 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      育児用品メーカーのピジョン株式会社は8月6日、同社が2023年6月より販売している管理医療機器「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」に…
    2. 怨念渦巻く家で、ナダルと村重杏奈が「リフォームホラーハウス」に挑む

      一軒家を魔改築する「リフォームホラーハウス」、MBSテレビで放送

      一軒家を丸ごとホラー仕様に魔改築する前代未聞のホラー×バラエティ番組「リフォームホラーハウス」が、8月8日と15日の深夜にMBSテレビで放送…
    3. RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      「RTA in Japan」は8月4日、2025年夏大会において、任天堂株式会社のゲームを利用しないことについて、経緯を説明。法人による任天…
    4. Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿

      ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

      米OpenAIが開発する対話型AI「ChatGPT」の人気が、再び急上昇しています。ChatGPTのプロダクト責任者であるNick Turl…
    5. 日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある“アボカドスキャナー”が便利すぎる

      日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある「アボカドスキャナー」が便利すぎる

      アボカドはギャンブルです。スーパーなどで見かけても、どれくらい熟してるのかは見た目ではわかりません。触って確かめることもできますが確度は高く…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト