「特撮映像館」、今回取り上げるのは特撮テレビドラマとしてその後の「ウルトラシリーズ」の原点にもなった『ウルトラQ』の劇場版『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』です。もっともテレビシリーズの劇場版というより独立したSF伝奇作品といった方がいいような印象もあるのですが…。


「ウルトラシリーズ」の劇場作品は『ウルトラマン』の企画から始まり、テレビ作品の編集版の劇場公開、第2期ウルトラシリーズの劇場作品(いわゆる「ウルトラ兄弟もの」)、アニメ『ウルトラマンUSA』などを経て「平成ウルトラマンシリーズ」へとつながってきたわけだが、シリーズの原点である『ウルトラQ』の劇場作品についても80年代になって企画が上がった。

当初「平成ガメラシリーズ」の監督、金子修介と脚本の伊藤和典らによって、テレビシリーズに登場した怪獣を登場させたオムニバス作品として企画が進められたが、キャラクターの商品化権や制作そのものの予算などの問題からこの企画は流れてしまったと聞く。しかし劇場公開スケジュール自体は生きていたため、実相寺昭雄監督、佐々木守脚本の本作の制作が進行した。

もともとは実相寺、佐々木による『ウルトラマン怪獣聖書』という映画企画があり、さらに佐々木によるテレビドラマ『三日月情話』でも羽衣伝説など本作で扱われるテーマを取り上げていた。

テレビシリーズ『ウルトラQ』では新聞社のカメラマン江戸川由利子と取材を助ける星川航空のパイロット万城目淳、その助手・戸川一平の3人を主人公にしていたが、劇場版の本作ではテレビ局のディレクターに万城目、その助手に一平、そして別企画のスタッフとして由利子という形になっている。また万城目たちが頼りにする科学者には中山 仁演じる一の谷博士も登場。ナレーターはテレビシリーズと同じ石坂浩二が担当している。
「ウルトラシリーズ」の特徴として怪獣が登場するということがあげられると思うが、本作でも「薙羅(ナギラ)」という怪獣が登場すると共に、遮光器土偶そしてミラーメタルなワダツジンが登場する。

とはいえ、本作の印象は『ウルトラQ』とはちょっと違うんじゃ…というのが個人的にはある。さまざまなアイデアによって作られたテレビシリーズではあったが、『ウルトラQ』というタイトルの基に共通したイメージというものもつくられていたと思うのだが、本作においては登場人物の名前がテレビシリーズと同じということにしか関連性を感じられないのである。もちろん作品自体がまずいということではない。『ウルトラQ』として見なくてもかまわない作品なのではないかということなのである。そういった意味ではまた別の、『ウルトラQ』の劇場版も企画してほしいと思う。

監督/実相寺昭雄 特技監督/大木淳吉
キャスト/柴 俊夫、荻野目慶子、風見しんご、高樹 澪、ほか。
1990年/106分/日本

(文:猫目ユウ)