「特撮映像館」、今回は特撮ヒーローの中でも人気の高いウルトラセブンの、テレビ特番『太陽エネルギー作戦』を取り上げます。約30年ぶりに復活したセブン。その硬質な雰囲気はファンの支持も高く、平成シリーズ(ビデオ)へとつながっていきました。

テレビシリーズ終了から約30年ぶりに制作された「ウルトラセブン」の続編。


ちなみに本作の企画は通産省(当時)のタイアップで3月21日「太陽の日」の広報的な意味合いから出発していた。したがって本編の内容にも太陽エネルギーや地球温暖化に関するレクチャー的なシーンが含まれ、テレビ放送当時は本編終了後に政府官僚が出演した政府広報コーナーも放送された。

テレビシリーズからの直接的な続編となった本作は、ウルトラ警備隊員の隊長にフルハシを残した以外は一新。アンヌは退役して一児の母となっている(子供にダンと名付けている)。

企画自体は先述したように政府及び放送したテレビ局から始まっているが、実際に制作した円谷プロでも、この前年『電光超人グリッドマン』という久しぶりの特撮テレビシリーズを制作しており、タイミング的にはふたたび特撮番組に脚光があたるキッカケになっていた。また「ウルトラシリーズ」のファンにとってもセブン復活は関心が高く、評価しもよかった。もっとも個人的にはモロボシ・ダンが登場しなかったのは残念だったし、登場した宇宙人、怪獣もかつてテレビシリーズに登場したピット星人やエレキングであったことが多少不満ではあった(新怪獣が見たかったというだけの話)。

このころは低予算を強いられる制作環境でもあり合成や特撮に以前のテレビシリーズやのちのテレビシリーズと比べて見劣りするものが無いわけではないが、その熱意は十分に伝わってくる。具体的にどのあたりが見劣りするかといえば、やはり光線などの合成だろう。フィルム制作の時代はアニメ合成で隊員たちの攻撃といえば光線銃、またデジタル合成になってからもCGでの演出が常識になったわけだが、ウルトラシリーズ初のビデオ制作となった本作はその狭間の作品といえる。それでもセブンとエレキングとの戦いでは、エレキングの尻尾に巻かれ電撃を受けるセブンや、エメリウム光線、ワイドショットといった光線の演出が見られる。さらにいえばアイスラッガーもCG(アニメ?)合成されていた。

音楽はテレビシリーズ当時のものを流用。セブンの世界観にはやはりこの音楽という印象も強い。またタイトルバック、オープニングもテレビシリーズのフォーマットを新たに制作していた。ちなみにセブンの「声」も森次晃嗣が新たに当てていたのだが、これはテレビシリーズ当時のものを流用でもよかったような気がする。どうももっさりした感じになってしまっていた。

監督は本編と特撮を神澤信一が担当。編集にも携わっていて一本の作品として統一感を出せたのではないだろうか。

内容自体はウルトラセブンの世界観をそのままにテーマにそってじっくりとみせてくれるいい作品に仕上がっているのだが、旧作からのゲスト出演者たちはどこか同窓会的なノリが見えて緊張感にかけるところが無きにしも非ず…。また地球温暖化に関する会議の中で語られる、かつての怪獣たちがセブンではなくウルトラマン登場のものだったのは少々残念。本来最初のテレビシリーズ(セブン)では、ウルトラマンとは関連の無い世界観だったはずだからだ。もっとも地球環境に影響を与えるような怪獣や宇宙人がセブンには登場しなかったというのもあったかもしれない。

いずれにしろ本作の好評を受けて、セブンは平成シリーズとして再出発することになる。

監督・特技監督/神澤信一
キャスト/毒蝮三太夫、影丸茂樹、松山鷹志、鈴木亜美、荻島眞一、ひし美ゆり子、森次晃嗣、ほか。
1994年/45分/日本

(文:猫目ユウ)