「特撮映像館」、第42回は1957年「地球防衛軍」を取り上げます。

かつて存在し、いまは破壊され小惑星群となってしまった太陽系のもうひとつの惑星ミステリアス。火星に移住していたその住民ミステリアンは、地球の侵略の手始めに半径3キロの土地と、地球の女性との結婚の自由を申し出てきた。が、すでに土地を占拠し数人の女性も拉致している事実から、人類はミステリアンとの対決を決意する。


人類の石器時代にはすでに水爆を開発していたという科学力を武器に、ミステリアンの圧倒的な力を示され、人類はそれぞれの国ではなく「地球」というひとつのまとまりとなる時期を察し「地球防衛軍」としてミステリアンに対峙する。

本作には特徴的な造形のロボット怪獣「モゲラ」が登場するが、作中でこの名称が登場することはなく、いわゆる怪獣図鑑で広まったものだろう。またこの手の図鑑ではモゲラは侵略目的というよりはミステリアンの基地建設などの工事用機械という設定も見られる。とはいえ基地に近い町を破壊するなど侵略用ロボットとという側面は見られる。が砲弾などにはかなり耐えながらも爆破によってがけ下に落とされる衝撃には弱いようで、そのまま活動を停止する。

地球防衛の矢面にたつのはアルファ号、ベータ号というロケット型の戦闘機と、マーカライト砲という光線兵器。東宝特撮映画の魅力は、登場する巨大生物の造形と、対する攻撃兵器というふたつがある。本作ではモゲラというロボット怪獣が登場しながらも正面から超科学兵器と対決はしていないのが残念ではあるが、ロケット型戦闘兵器とマーカライト砲のふたつはその後の東宝特撮映画に受け継がれる要素ではある。

ちなみにシナリオの潤色に『ゴジラ』の香山 滋がクレジットされている上に、『ゴジラ』に出演した平田昭彦、河内桃子のふたりが結ばれない恋人同士として再び出演しているのも指摘しておきたい。

また本作は東宝スコープというシネスコサイズで制作上映されたが、劇場の大きなスクリーンで鑑賞したいと思わせる画面の連続である。時代としてスクリーンでの鑑賞が第一前提であり、それ以外の鑑賞スタイルを意図していないことから来るアングルや演出であったことが考えられるが、それだけ現在の映画作品がスクリーン以外での鑑賞を意図して制作されているという印象を強くした。

最期に、ミステリアンの代表を演じているのは土屋嘉男。ガス人間やX星人と特異なキャラクターに扮することの多い役者だが、今回はヘルメットにサングラスで顔のほとんどを隠したまま素顔を画面に表すことはなかった。

監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二
キャスト/佐原健二、平田昭彦、志村 喬、河内桃子、白川由美、ほか。
1957年/88分/日本

(文:猫目ユウ)