皆様こんにちは。ミリタリーにおける『食』、特にレーションについてご紹介していくDachoの『ミリヲタ的グルメ』。第九回目は、アメリカ軍が以前採用していたMCIです
手元にあるMCIは、1968年製、何と製造から42年も経過しています。皆さんは、42年も前の食べ物を食べたことはありますか?今回は、命がけのレポートです!


●MCIとベトナム戦争
アメリカ軍の現在の標準的なレーションは、81年頃から採用されているMRE(Meal, Ready-to-Eat)です。
その前、1960年代~1970年代に使われていたのが今回ご紹介するMCI(Meal, Combat, Individual:個人用戦闘食料)です。

アメリカ軍の1960年代、1970年代と言えば、やはりどうしてもベトナム戦争ということになります。当時、アメリカは多くの人命と天文学的な税金をつぎ込んで、長い泥沼の戦争を続けていました。

そして、東南アジアの戦場で兵士達が食べていたのがMCIです。

写真のMCIは、1968年製、戦争が一番激しかった年に製造されたものです。この歴史を考えると、ちょっと感慨深いものがあります。

●箱の中身
MCIは、以下のような構成になっています。

・Mユニット(肉料理の缶詰)
・Bユニット(パンなどの缶詰)
・Dユニット(デザートの缶詰)
・アクセサリーパック
・スプーン

Bユニットの「パン(Bread)」は、実際には、クラッカーやビスケット、クッキーなどの事です。これらに加えてもう1品(チョコレート、チーズ、ココア)がセットになったのがBユニットです。

それでは、今回のメニューを見ていきましょう。

・Mユニット:豆とフランクフルトソーセージの塊のトマトソース煮
・Bユニット:B-2ユニット(ビスケットとチーズ)
・Dユニット:ナツメヤシのプディング

さすがに缶の表面は、年季が入った感じですね。これらを1つ1つ開けていきたいと思います。

●アクセサリーパック
茶色いアクセサリーパックを開封すると、色々な物が出てきます。

・インスタントコーヒー
・コーヒー用クリーム
・砂糖
・塩
・チューインガム
・タバコ
・マッチ
・爪楊枝
・トイレットペーパー

レーションにタバコが入っているのは、現在では考えられないことで時代を感じさせます。
アルミの袋に密封されていたため、どれも古そうな感じはありません。
粉物のパックは、どれもサラサラと音がします。

コーヒーとガムとタバコを開封してみました。コーヒーは、見た目も香りも全然変化していなさそうです。
ちょっとだけ舐めてみましたが、普通のインスタントコーヒーの味と香りで、これが42年も前の物とは思えません。

次にガムを噛んで観ましたが、味も食感も異常なしです。

タバコは、ちょっとシミができています。私は、喫煙しないので見るだけです。

●B-2ユニット
ビスケットとチーズの入ったB-2ユニットの缶詰を開きます。缶切りを突き刺すと、プシューっという音がし、悪臭が噴き出してきました。
蓋を開けると、きれいなビスケットが見えます。

ビスケットを全部取り除くと、その下に悪臭の元が見えました。

チェダーチーズの缶詰が変形し、中身が漏れています。蓋を開けると、見た目も匂いも最悪です。

もはや食べ物ではありません。ビニール袋に密封して退場してもらいました。

ビスケットをちょっとだけ齧ってみましたが、塩味の普通のクラッカーという感じです。でも、後味が苦かったので、それ以上は食べませんでした。
安全第一です。(危険なものを食べておいてなんですが・・・(^^;)

●豆とフランクフルトソーセージの塊のトマトソース煮
次に「豆とフランクフルトソーセージの塊のトマトソース煮」の缶詰を開いてみます。こちらは、トマトソースの香りがして異常なさそうです。

ソーセージがゴロゴロ見え、下の方には豆が沈んでいました。これもちょっとだけ齧ってみます。
トマトソースの甘みとソーセージの味がして、大丈夫そうです。
…と思いましたが、やはり後味は変です。

安全第一、安全第一。

●ナツメヤシのプディング
最後はデザートです。「ナツメヤシのプディング」の缶を開けると、黒いカップケーキのようなものが見えます。

匂いは異常なしです。スプーンですくってみると、結構硬くてプディングのイメージと違います。
少し食べてみると、甘みと歯ごたえがあり、パウンドケーキのような感じです。これも第一印象は、問題なさそうですが、かすかに後味が苦いです。結局これも味見だけで終了です。

どれも42年も前に作られたとは、とても思えないほど保存状態は良好でした。(一部除く!)
でもさすがに食べるのは危険な感じですが、とりあえずこれを書いている時点では、お腹は大丈夫です。

【注意してください!!】
アメリカ軍MCIを初めとする各国のレーションは、我々民間人が手に入れて食べることを前提としていません。
これらを販売する業者なども、あくまでコレクション品として取り扱っています。
食品としての安全性は、各国政府、製造業者、販売者の誰も保証してくれませんので、万が一食べる場合は、すべて自己責任になります。

■ライター紹介
【Dacho】

中学時代に「エリア88」と出会い、ミリタリーに目覚める。数年前、以前から気になっていたMRE(米軍のレーション)をミリタリーショップで発見し、レーションオタクの道へ。急速に自宅の空きスペースを浸食していくレーションの山と日々闘い続けている。