「ナナメ観 特撮映像館」、第十九回の今回はファンタジー色の強い『オール怪獣大進撃』をご紹介いたします。

公害や鍵っ子、団地といった当時の現風景が盛り込まれた作品。また本作では主人公である少年の夢の中に登場する怪獣たちということで、ゴジラが街を破壊するようなシーンはない。


さらに、円谷英二が病気療養中だったため特撮シーンの多くは過去の作品(『南海の大決闘』と『ゴジラの息子』など)から流用している。このため実際は1度しか登場していないエビラやカマキラスなどの認知度が上がっているのではないかという気がする。

いじめられっ子の主人公の成長物語としてよくまとまっているし、夢に登場するミニラとの友情もなかなかいい。強いて言うなら、前作のインパクトが強かったためなのだろうが、本作のタイトルはいかにも…という気がしていただけない。
時代的に怪獣ブームの谷間ともいえる時期でもあり、本作のようなちょっと変化球で攻めるということも必要だったのかもしれない。

監督/本多猪四郎、特技監修/円谷英二
キャスト/矢崎知紀、天本英世、ほか。
1969年/日本/70分
※東宝チャンピオン祭り第一回作品

(文:猫目ユウ)