「うちの本棚」第十七回は前回に関連してアニメ版『デビルマン』のコミカライズ作品を取り上げてみました。
『デビルマン』は永井 豪の代表作のひとつであり、本作はそのアニメ化に伴ったコミカライズ版である。蛭田 充によってコミカライズされたが、アニメ作品をベースにしながら、原作の要素も取り入れつつ、オリジナルな要素もある、独特の位置を占めている作品といえる。

まず主人公であるデビルマンの設定である。原作では、人間・不動 明が、悪魔デビルマンと合体し、意識はそのままで、悪魔の強靱な肉体と超能力を手に入れる。一方アニメでは、悪魔デビルマンは、人間界に侵入するために、不動 明の身体に乗り移り、利用するだけで、意識はデビルマンのままである。蛭田は原作に沿って、不動 明の意識を残した。

原作の連載と、アニメの制作がほぼ同時進行だったため、その内容は著しく違っているが、アニメ版を漫画で読むという意味では、蛭田版『デビルマン』となる。

内容は、ほぼアニメ版のストーリーに沿っているが、後半登場する「ララ」などは描かれず、明とミキ(原作では美樹だが、蛭田版ではカタカナ表記)、そしてデビルマンと妖獣のバトルに的を絞っている。また、妖獣はアニメの設定に忠実に描かれている印象があるが、デビルマンや主要なキャラクターはわりと自由に描いているように感じられる。

ところで、この作品は過去に何度か単行本化されてきたわけだが、ナガオカコミックスで刊行されたものは中でも稀少だ。その存在自体あまり知られていないと思う。

初出 冒険王(秋田書店)
書誌 秋田サンデーコミックス/全2巻
ナガオカコミックス/全3巻
スターコミックス/全2巻
ATCW(秋田トップコミックスワイド)/全1巻

■ライター紹介
【猫目ユウ】
ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。