エアバスは2020年7月10日(オーストラリア時間)、オーストラリア国防省が進めている特殊部隊用ヘリコプター選定計画に、オーストラリアの企業20社と共同でH145Mを提案したと発表しました。この計画には、すでにベルがオーストラリアのバブコックと共同でベル429を提案しており、両陣営が採用を目指して争うことになります。

 オーストラリアでは軍の装備近代化を進めており、特殊部隊が使用するヘリコプター選定計画は「Project LAND 2097」のフェイズ4に位置付けられています。この計画では最大16機のヘリコプターを調達し、2024年ごろの運用開始を目指します。

 オーストラリア国防省が示した要求項目は、4トンクラスの小型ヘリコプターで、特殊部隊を投入・撤収できるほか、捜索救難にも使えること。さらに迅速に展開できるよう、機体がC-17輸送機で空輸できることも条件となっているほか、オーストラリアの産業振興につながることも条件となっています。

 エアバスはこの計画に応札するにあたり、オーストラリアの地元企業20社と「チーム・ナイトゥジャー」を結成。ナイトゥジャー(Nightjar)とはヨタカのことで、夜間に隠密作戦を実施する特殊部隊の特性を示すものとなっています。

 H145Mはドイツ軍の特殊部隊でも採用されており、すでに実績は十分。エアバス・オーストラリア・パシフィックのマネージングディレクター、アンドリュー・マシューソン氏は「私たちはこの計画において、オーストラリアの地元企業と協力することの重要性を認識しています。各パートナーはそれぞれ、オーストラリアに適した能力を提供します。オーストラリア産業界への確固たる関与に基づき、チーム・ナイトゥジャーはオーストラリアの産業支援とイノベーションの実現に重点を置きます」とコメントしています。

 すでにオーストラリア軍では、エアバスのMRH90汎用ヘリコプターやタイガー攻撃ヘリを運用中。これらのヘリコプターも、オーストラリアの地元企業との協力関係により、1500名以上もの雇用を生み出しています。

 エアバスによると、このチーム・ナイトゥジャーにより、オーストラリアに2億5000万オーストラリアドル以上の経済効果を生み出し、170以上もの職種を提供することが可能だとしています。目下のライバルとなるベル429も地元企業であるバブコック・オーストラリアと提携しており、オーストラリア国防省の決定に注目が集まります。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
バブコック・オーストラリア ニュースリリース
Image:Airbus/Commonwealth of Australia 2020/Bundeswehr

(咲村珠樹)