インドの航空機メーカーHAL(ヒンドスタン航空)は、国産戦闘機テジャスの完全作戦能力(FOC)機が2020年3月17日(現地時間)に初飛行を行なったと発表しました。すでにインド空軍で運用中ですが、これはインド初の国産戦闘機計画における大きな節目となります。

 インドの国産戦闘機テジャスは、LCA(Light Combat Aircraft)と呼ばれる軽戦闘機。主に老朽化が進むMiG-21や、MiG-27(2019年末に退役済)の後継として運用されることを目的としたマルチロール機です。

 外見状の特徴は、通常とは逆に外側部分の後退角が大きくなるという、ダブルデルタの主翼。F/A-18と同じゼネラル・エレクトリック(GE)のF404ターボファンエンジンを採用した単発機で、最高速度はマッハ1.6、戦闘行動半径300kmという仕様となっています。

 すでに初期作戦能力(IOC)仕様の先行生産分がインド空軍に引き渡され、第45飛行隊で運用が始まっていますが、ようやく完全作戦能力(Full Oparational Capability=FOC)を有した実戦仕様の機体が完成。インド南部ベンガルールの飛行場で初飛行が行われました。

 チーフテストパイロットのムタナ退役空軍代将の操縦により、現地時間の12時30分に離陸したFOCスタンダード(SP-21)仕様のテジャスは、およそ40分間の試験飛行を実施。上空で性能に問題がないことが確認されました。

 FOC仕様のテジャスには、インド空軍第45飛行隊で運用中のIOC仕様で得られたデータをもとに、空中給油システムや、視程圏外(BVR)空対空ミサイルの運用能力などが追加されています。現在15機のFOC仕様が生産中で、これらは2021年に引き渡される予定です。

<出典・引用>
HAL(ヒンドスタン航空) ニュースリリース
Image:HAL/インド空軍/インド国防省

(咲村珠樹)