アメリカ海兵隊は、陸軍に続いて新型グレネードランチャーM320A1(H&K GLM)を採用。現在は第2海兵遠征軍で習熟訓練が進んでおり、4月からの2020年第2四半期における初期運用能力獲得へ向け、最終段階に入っています。

 アメリカ海兵隊は、現用のM203A1グレネードランチャーに代わる新しい歩兵用のグレネードランチャーに、陸軍が2006年に採用したM320A1(H&K GLM)を採用。2019年から、修理可能性を分析する試験(Level of Repair Analysis=LOLA)をはじめ、海兵隊での実戦運用を前提とした様々な実地試験を実施してきました。


 M320A1も現用のM203A1と同じく、口径40㎜のグレネードランチャーですが、銃身を前にスライドさせて弾薬を装填するM203A1と違い、銃身を横に振り出す形で弾薬を装填する方式を採用。これにより、通常の40×46mmてき弾よりも全長の長い非致死性の弾薬(ノンリーサルウエポン)でも装填・発射が可能な構造になり、使用可能な弾薬の種類が増えています。

 M320A1のもう1つの特徴は、銃に取り付けて使用するだけでなく、折り畳み式のストックを備え、グレネードランチャー単体でも射撃が可能なこと。より柔軟な運用が可能になります。

 そして海兵隊では、補修用パーツを3Dプリンタで製作する仕組みも構築しました。通常だと、補修用パーツを発注するとなると、メーカーへの予算措置が必要になるため、色々な手続きを経ると1年近く待たされてしまいますが、3Dプリンタであれば図面データから数時間で、必要な分だけ届けることが可能になります。

 海兵隊システムコマンドで、M320A1計画を統括するニック・バーガー大佐は「この3Dプリンタで補修部品を製造する仕組みがなければ、もし試験中に壊れた際、修理に時間がとられてM320A1の調達数を絞らざるを得なくなるところでした。おかげで12以上の歩兵大隊と、初級学校にM320A1を支給することができます」と、3Dプリンタの効果を語っています。

 第2海兵遠征軍(II MEF)の第2海兵師団第1大隊B中隊で、実際にM320A1の習熟訓練を受けているレオンドラ・ベゲイ上等兵は、子のグレネードランチャーがM203A1より進歩していることを挙げ「一足先にこのM320A1を扱えているのは素晴らしいことだと思います。しかも部隊の何人かは、ほかの海兵隊員に小隊レベルで使用法を教えることもできますし」と、その使い心地を評しています。

 海兵隊システムコマンドのバーガー大佐によれば、2021年にはM320A1が海兵隊の歩兵部隊に支給を終える見込みとのこと。海兵隊全体での完全運用能力獲得は、2024年第4四半期を予定しています。

※初出時、制式名を「M230A1」としていましたが「M320A1」の誤りです。お詫びして訂正いたします。

<出典・引用>
アメリカ海兵隊 ニュースリリース
Image:USMC

(咲村珠樹)